麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる感染症です。免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続するといわれています。麻しんウイルスは感染力が極めて強く、空気感染、飛沫感染、接触感染などさまざまな経路で感染し、現在の日本でも年間数十人が麻しんによって亡くなっています。
発症する年齢は1~2歳がもっとも多く、一般に子どもの病気とされていますが、近年では成人の感染者増加が問題となっています。
麻しんに感染すると、1~2週間の潜伏期ののち、発熱や咳、鼻水といった症状で発症します。38℃以上の発熱が数日続き、発疹が現れるとともに徐々に軽快しますが、脳炎や肺炎などの重篤な合併症を引き起こす場合もあります。発症後の特効薬はなく対症療法だけとなるため、免疫のない人には予防接種が非常に重要です。
欧州から帰国または入国後に麻しんを発症した症例が都内で拡散しています。東日本大震災の取材に来た欧州のジャーナリストが、日本で麻しんを発症したという報告もあります。
昨年1年間に東京都では、約80件の麻しん患者が報告されました。しかし、今年4月だけですでに24件が報告されており、そのうち20歳以上の発症例が半数以上を占めています。
今後、全国へと拡がり免疫のない人を中心に流行が拡大する恐れがあるため、十分な注意が必要です。
麻しんの免疫を持っていない人にはワクチンの予防接種が有効です。予防接種を受けていない場合は、かかりつけ医などに相談しましょう。
20代から30代の人たちの中には、今まで一度も麻しんの予防接種を受けていない人がいます。「麻しんにかかったこともなく、ワクチンを1回も受けたことのない人」は重症になりやすいです。また、一度の予防接種では十分な免疫を得られるとは限らないので、できれば2回の接種が望ましいといわれています。
過去に麻しんにかかったことがあると思っていても、そうでない場合があります。麻しんに感染したことがあり、麻しんに対する抗体を持っているかどうかは、血液検査によって調べることができます。一度検査をして確認しましょう。
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