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震災関連情報

福島第一原子力発電所の事故により、放射性物質や放射線への不安が広がっています。被ばくから身を守るにはどのようにしたらよいのか、放射性物質は人体にどのような影響をもたらすのかなど、健康被害と対策に関してまとめました。

被ばくから身を守る方法

放射性物質が飛散したら

放射性物質が出す放射線を浴びた状態を「被ばく」といいます。体の外から放射線を浴びて被ばくした場合を「外部被ばく」といい、呼吸などによって放射性物質が体内に入り込み、体の中から被ばくした場合を「内部被ばく」、また、放射性物質が付着している状態を「汚染」といいます。

放射性物質は目に見えません。放射性物質が拡散したときには、テレビやラジオなどから正しい情報を入手し、災害対策本部などの指示に従いましょう。

屋外にいた場合、まずは放射性物質から離れてください。空気中の放射性物質は風下に流れるので、風上に向かって逃げましょう。内部被ばくを避けるため、濡れタオルやマスクで口をふさぐとよいです。屋内に逃げ込む際には、放射線を遮る力が強いコンクリートの建物を選びましょう。

屋内に入ったら、すぐに着ていた服をビニール袋に入れて密封してください。放射性物質の量にもよりますが、衣服は破棄した方がよいでしょう。次に、手洗いとうがいを行い、シャワーで体をよく洗い流してください。また、屋内では外気を遮ることが重要です。窓は密閉しエアコンや換気扇は使わないようにしましょう。

避難所などへ移動するために再度外出する場合、肌を露出させない服装を選び、帽子や手袋も着用してください。手袋は放射性物質が付着しにくいゴム製のものを使用するとよいでしょう。雨が降っている場合は、傘をさすか、雨がっぱを着て濡れないように気をつけてください。雨には空気中の放射性物質が混ざっています。

放射性物質が人体に及ぼす影響

放射線量と人体への影響

被ばくすると、放射線によってDNAや細胞が傷つけられ、白血球が減少したりがんの発生率が高くなるなど、人体へ悪影響を及ぼします。具体的にどのような影響が出るのかは、被ばく線量や被ばくした回数、被ばくした部位など、条件によって変わってきます。

最も悪影響が出るのは、短時間で全身に大量の放射線を浴びた場合です。被ばくしてから短期間でさまざまな症状が現れます。症状は被ばく線量が増加するにしたがい重くなり、最悪の場合死に至ります。(被ばく線量に伴い現れる症状については、左図をご覧ください)

被ばく後、一定期間が経ってから症状が現れる場合もあります。白血病は被ばく後2年目から、がんは被ばく後10年目から症状が現れ始めます。このほか、遺伝的障害が現れる場合もあります。これらは被ばく線量が増加するに伴い発症率が高くなります。

このため、「一般公衆の線量限度」が法律※1によって定められており、日本では自然被ばく※2以外で、年間1ミリシーベルトとなっています。しかし、年間200ミリシーベルト以下であれば、人体への直接的な影響はないといわれています※3

ただし、妊婦の数量限度は一般の人よりも厳しい基準となります。これは妊婦だけでなく、胎児にも影響が出るためです。日本産婦人科医会では、この数量限度を妊婦に関しては年間100ミリシーベルト以下であれば問題ないとしています。

また、放射性物質が付着した飲食物を摂取した場合、一部の放射性物質は胃や腸で吸収され、血液とともに体内の各組織へ送られます。しかし、体内に入ってもその多くは排出されます。これに対し、大気中の放射性物質を呼吸によって体内に吸入した場合、その一部は肺に留まります。肺の組織に付着した放射性物質は体外に排出されないため、放射性物質の種類や量にもよりますが、長期間にわたって体内から放射線を浴び続けることになるので注意が必要です。

※1 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律。国際放射線防護委員会(ICRP)の定めた基準を採り入れて定めた数値ですが、人体が耐えられる放射線量の上限というわけではありません。原子力関連施設での緊急作業従事者は年間100ミリシーベルトと定められており、さらにこのたびの福島第一原発の作業者に限っては、基準が年間250ミリシーベルトまで引き上げられました。

※2 今回のような原発事故が起きなくとも、私たちは日常生活においてさまざまな形で放射線を浴びています。これを自然被ばくといい、この自然被ばく線量の世界平均が年間2.4ミリシーベルト、日本平均が年間約0.9~1ミリシーベルトといわれています。

※3 短時間で数量限度の放射線量を浴びた場合は一時的に白血球が減少する可能性があります。

参考サイト

千葉市の大気中の放射線量(空間放射線量)

実際に千葉市ではどの程度の空間放射線量が観測されているのでしょうか。財団法人日本分析センターの測定結果(測定地点:千葉市稲毛区山王町)では、3月15日からの観測データが掲載されています。一番高い数値は、3月15日16時の1時間0.732マイクロシーベルト。これを1年間浴びると、0.732マイクロシーベルト×24×365 = 6412.32マイクロシーベルトとなります。1000マイクロシーベルト = 1ミリシーベルトなので、約6.5ミリシーベルトです。現時点では健康被害が現れることはありません。

※これは空間放射線量を測定したもので、このほかに水や食物などからも放射性物質を取り込み、内部被ばくする可能性があることも忘れてはいけません。

放射性物質の種類

放射性物質にはさまざまなものがあります。特に人体に影響を与えるのが放射性セシウムと放射性ヨウ素、放射性ストロンチウムです。

放射性セシウムは全身にまわりやすく、ざまざまながんの危険性が高まります。半減期はおおよそ2年から30年です。放射性ヨウ素は甲状腺に集まりやすく、甲状腺がんを発症させる恐れがあります。広範囲に拡散しやすい反面、半減期がおおよそ8日と短いのが特徴です。放射性ストロンチウムは骨髄に蓄積されやすく、白血病の可能性が高まります。半減期はおおよそ29年です。

安定ヨウ素剤の服用について

安定ヨウ素剤

安定ヨウ素剤は、甲状腺に放射性ヨウ素が蓄積することを防ぐ働きがあります。放射性物質による汚染が広がる前に服用することで、放射性ヨウ素の吸収を阻害し、放射性濃度を薄めて甲状腺への影響を低減させる効果があります。

服用については40歳未満の人を対象としています。40歳以上の人は放射性ヨウ素による被ばくで甲状腺がんの発生率が増加しないため、服用対象としていません(ただし、妊婦は40歳以上でも服用します)。また、ヨウ素過敏症などの人も、副作用として一時的に甲状腺の機能低下を招く場合があるので、服用できない場合があります。

安定ヨウ素剤は、甲状腺の被ばく線量が100ミリシーベルトを超えると予測される場合に配られます。保健所や自治体などで保管されているので、通常、一般の薬局や病院で販売されることはありません。

なお、うがい薬やヨードチンキ、消毒用せっけん、ルゴール液など、ヨウ素を含む消毒剤などは、安定ヨウ素剤の代替品にはなりません。ヨウ素以外の成分が多いため、逆に有害になる可能性があります。

参考サイト

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