2017年10月13日
下肢静脈瘤とは、足の静脈に起きる血管疾患です。静脈は、体の隅々で不要になった老廃物を含んだ血液を重力に逆らって心臓へ戻す通路です。血液を心臓へ戻すためにはいくつかの働きがありますが、大きく関係するのが足のふくらはぎの筋肉によるポンプ作用と、静脈内にある静脈弁です。通常、歩いたり足先を動かしたりと、ふくらはぎの筋肉を伸び縮みさせることで、足の血液は上へと押し上げられます。静脈内は、血液が一方的に流れ、逆流を起こさないように「逆流防止弁」が食い止めています。それが壊れると血液が逆流し、血管内に溜まった静脈が膨らむことで、下肢静脈瘤が起こります。
原因は、主に長時間の立ち仕事や妊娠・出産などで、逆流防止弁に負担がかかることによって起こります。
症状としては、静脈がコブ状に膨らむ、血管が浮き出て見えるなどの外見的な特徴に加え、足のむくみ、痛み、だるさ、かゆみなどの症状が起こります。発症してからそのまま自然治癒することはなく、加齢とともに徐々に悪化していきます。下肢静脈瘤が悪化すると、腫瘤化したり皮膚疾患が起こることがあり、治りにくくなってしまいます。「うっ滞性皮膚炎」や「皮膚潰瘍」などといった合併症を併発することもあり、「深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)」などの重大な病気を引き起こす可能性もあります。症状が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
下肢静脈瘤にはいくつかタイプがあります。伏在型静脈瘤は特に静脈血がうっ滞し、皮膚脂肪硬化症という状態になりちょっとした事でも傷ができ、治りにくくなり、結果として下腿潰瘍を起こすこともあります。また細菌に感染しやすくなり、足全体が赤く腫れる蜂窩織炎、血栓性静脈炎をおこすことがあります。
(1) 伏在型静脈瘤 | 足のもっとも太い表在静脈である大伏在静脈、小伏在静脈に形成される静脈瘤で、70~80%がこのタイプです。 ・ 大伏在静脈瘤 大伏在静脈は、体表の中で最も長い静脈です。くるぶしから始まり、足の付け根で大腿静脈と合流します。その合流した場所などの弁で逆流が起き、それが徐々に下腿部に広がっていくことで、足首の内側やふくらはぎなどに静脈瘤が浮き出てきます。
・ 小伏在静脈瘤
小伏在静脈は、ふくらはぎの後面を走行し膝の裏で膝窩静脈に合流する静脈です。大伏在静脈と同様に弁不全により逆流が起き、足首の後ろ・膝窩部・膝の後ろなど静脈瘤ができます。
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(2) 側枝型静脈瘤 (分枝静脈瘤) |
伏在静脈から枝分かれした静脈の一部が膨らみ、静脈瘤となったものをいいます。主に、ふくらはぎの部位にできることが多いですが、伏在型に比べるとやや細めで範囲が狭く、症状も軽いことがほとんどです。 |
(3) 網目状静脈瘤 | 皮下の浅いところにある細い静脈が拡張してできた静脈瘤です。静脈が青色に浮き上がり、網の目に見えることから、網目状静脈瘤といわれています。血管の隆起はありません。 |
(4) クモの巣状静脈瘤 | 皮膚に近く、とても細い静脈が拡張してできた静脈瘤です。血管がクモの巣のように放射状に広がって見えるのが特徴で、大腿部、下腿部、膝裏などに多く見られます。毛細血管が拡張して「赤紫色」に見えるものと、細静脈が拡張して「青白く」見えるものの2種類があり、同時に表れたものを「混在型」といいます。網目状静脈瘤と同様に、血管の隆起はありません。 |
【下肢静脈瘤の主な症状】
皮膚と筋肉の間を走る表在静脈が膨らむと下肢静脈瘤と診断されます。
治療はいくつかの方法で行われますが、一番多い方法は「圧迫療法」です。医療用の弾性ストッキングや弾性包帯で、下肢に適度な圧力を与えます。そうすることで下肢に余分な血液がたまることを予防し、下肢の深部にある静脈への流れを助けます。圧迫療法は、あくまでも進行防止・現状維持が目的で、下肢静脈瘤そのものが治るわけではありませんが、初期治療としてはもっとも効果的です。
ほかにも古くから行われている方法に、「硬化療法」や「ストリッピング手術(静脈抜去手術)」があります。現在では、最新のレーザー治療も行っており、昔よりも治療して治る可能性が高くなっています。
下肢静脈瘤は、一度発症してしまう自然に治るということはありません。きちんと治療した場合でも再発することがあり、日頃から予防することがもっとも大切です。
【下肢静脈瘤の予防方法】