2025年7月7日
鼓膜穿孔は鼓膜に穴が開くことで、難聴や耳鳴りといった症状が出る病気です。中耳炎によるものと、鼓膜や頭部に何らかの衝撃が加わることによって発症するものがあります。放置すると難聴につながるため、発症に気が付いたらすぐに医療機関を受診しましょう。
私たちが普段音を認識するときには、外から耳の中に入ってきた音波が鼓膜にあたって震え、その振動が耳の奥で電気信号に変わっています。鼓膜穿孔は鼓膜に穴が開き、うまく振動が伝わらなくなった状態です。
原因は大きく2つあります。
■中耳炎などの炎症によるもの
鼓膜よりも内側の空間には、鼻の奥とつながっている部位があります。その部位を通じて、細菌やウイルスが侵入すると中耳炎の発症につながります。悪化すると鼓膜に炎症が起こり、穴が開きます。
■外傷によるもの
耳かきなど異物が直接鼓膜にあたる、平手打ちなどで耳の中の気圧が急激に変化することも、穴が開く原因です。このほか航空機に搭乗する、スキューバダイビングなどでの気圧の変化も、発症につながります。
鼓膜に穴が開いた瞬間、激しい耳の痛みがあらわれます。加えて難聴、耳鳴りが生じることもあります。
中耳炎などの炎症が原因の場合は、炎症で生じた膿が穴を取って流れ出てくる耳垂れが起こることも多いです。
外傷の衝撃が鼓膜の奥まで影響を及ぼすと、より重度の難聴やめまいを引き起こし、平衡感覚を失うこともあります。
鼓膜は再生力が高いため、自然に穴がふさがるのを待つことが多いです。ただし中耳炎などの炎症がみられるときには、内服薬などで炎症を抑える治療を行います。
2カ月以上たっても改善がみられない場合には、手術を行います。穴が小さい、位置が複雑でないときには、簡単な日帰り手術で、治療できることもあります。
鼓膜穿孔を何度も繰り返すケースでは、鼓膜が十分に再生できなくなっている可能性が高いです。かかりつけ医に相談して、適切な治療を受けましょう。
このほか鼓膜に穴が開いているときに耳の中に水分が入ると、感染症の発症につながります。特に夏場はプールや海水浴などで耳に水が入るリスクが高まるので、利用する際は注意が必要です。