2012年3月30日
めまいとはどんな病気でしょうか? 大きく2つのめまいに分けることができます。
1つは、体の平衡を保つ機能(平衡覚)が障害された時に起きるめまいです。体の平衡を保つ機能は、眼球運動や、関節の曲がり具合などを感じる深部知覚、また小脳、脳幹、大脳などと密接に関係しています。このルートが炎症や循環障害、腫瘍などによっておかされて起きるめまいで、内耳が障害されている場合が多いようです。ほとんどのめまいはこのタイプで、「眼振」と呼ばれる通常と異なる眼球の動きがみられます。「良性発作性頭位めまい症」や「メニエール病」もこのめまいの一種です。
もう1つは、平衡覚の障害以外で起こるもので、高血圧や精神が不安定な状態から起きるめまいなどがあります。
典型的には前者のめまいは回転性(自分や周囲が回転しているように感じるめまい)で、後者のめまいはふわふわした浮遊感で感じることが多いようです。しかし、平衡感覚が鍛えられている人の場合や眼振が軽い場合は、前者のめまいでも浮遊感程度に感じたり、全く感じなかったりすることもあります。
めまいの大部分は内耳障害によるものです。その中でも最も多いとされているのは「良性発作性頭位めまい症」です。内耳障害で起きるそれ以外のめまいには「前庭神経炎」や「メニエール病」などがあります。内耳と小脳と脳幹で囲まれた部分にできた腫瘍(聴神経腫瘍)が、めまいの原因になっていることもまれではありません。
ここで、皆さんがよく気にされるメニエール病について簡単に説明します。メニエール病は、内耳の中の水が増えてしまう病気です。めまいを感じた時、それが回転性であっても浮遊感であっても、そのめまいが片側の耳の難聴と耳鳴りと一緒に起きていて、2~3時間ですべての症状がほぼ同時に治まるようであれば、メニエール病かもしれません。典型的なメニエール病は、そのような発作を反復するのが特徴です。
めまいは、原因となっている病気によって治療方法が異なります。まず、めまいの原因や、悪い耳が左右どちらなのかを明らかにすることが大切です。場合によっては聴力検査や電気眼振図検査、MRIなどさまざまな検査が必要になりますので、気になる方は専門医療機関を受診してください。
めまいのほとんどは、内耳の障害により引き起こされています。めまいを感じたら、それが回転性であっても、浮遊感であっても、まず耳鼻咽喉科にかかるのがいいでしょう。また、めまいによっては、普段の生活環境を変えることで症状が改善することもありますし、予防できる場合もあります。耳鼻咽喉科医とよく相談してみてください。