2012年3月29日
更年期とは、閉経前後の約10年間を言います。閉経の年齢は個人差が大きいのですが、日本人の平均閉経年齢は50歳といわれています。この更年期には、卵巣機能が低下して女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少するためにさまざまな症状が現れます。これらの症状の中で、日常生活に支障をきたすものを「更年期障害」とよんでいます。女性ホルモンの減少だけでなく、家庭や環境の変化、ストレス、生活習慣などが影響していることもあります。
(1)自律神経の乱れによる症状 | 顔のほてり、のぼせ、発汗、動悸、めまい など |
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(2)精神神経症状 | 情緒不安、いらいら、抑うつ気分、不安、不眠、頭重感 など |
(3)その他の症状 | 腰痛、関節痛、食欲不振、皮膚乾燥感、かゆみ、排尿障害、性交障害、外陰部違和感 など |
更年期障害の治療薬として、エストロゲン製剤(ホルモン補充療法)、漢方薬、抗うつ薬、睡眠剤などが使われます。
ホルモン補充療法は、減少した女性ホルモン(エストロゲン)を薬で補うことで、更年期障害を治療するものです。エストロゲン製剤には飲み薬、貼り薬、塗り薬、腟剤があります。ホルモン補充療法の向かない方や、症状、程度によっては、漢方薬や抗うつ薬、睡眠剤などによる治療になることもあります。
また、非薬物療法として心理療法や、運動やバランスの良い食事摂取、気分転換をするなど生活習慣を見直すことで、症状を軽くすることができます。
注意したいのは、更年期にはさまざまな症状が現れますが、一概に「更年期障害だから」と自分で判断してはならない、ということです。更年期障害のように思えても、実際は甲状腺疾患や高血圧、糖尿病、うつ病など他の病気があることがあります。また、女性ホルモンは骨粗鬆症や高脂血症などの病気とも関連しています。更年期にこうした症状をお持ちの方は、我慢せず医師に相談して、ご自身にあった治療を受けるようにしてください。