2012年8月6日
日本には、明治時代以前は痛風という病気は存在していませんでした。病気が発見されたのは明治時代以降、増加したのは第二次世界大戦以降です。食生活が欧米化し、動物性たんぱく質の摂取量と飲酒量が増加したため、痛風の患者が増えたと考えられています。
痛風の直接の原因となっているのは尿酸という物質です。尿酸は血液などに溶けて体内に一定量存在している物質ですが、増加すると溶けない状態で体内に蓄積されます。増加する原因は、体内で多くつくられ過ぎた場合や元となるプリン体を含む食物を摂取し過ぎた場合、または、うまく排泄されず、溜まってしまった場合などです。蓄積された尿酸は結晶化し、体内のさまざまな場所に沈着します。痛風の場合、これが関節に沈着することにより炎症を起こし、激痛(痛風発作)が起こります。
一度痛みが引いても尿酸値が高くなればまた発作が起こります。繰り返しているうちに痛む箇所が増加し、発作の間隔も短くなります。このころには腎臓にも異常が発生している可能性が高いです。腎臓に尿酸が沈着すると腎臓に負担がかかり、そこから腎障害を起こします。高血圧、糖尿病などと合併することで動脈硬化を悪化させることもあります。
※尿酸値を下げる治療法としては、尿酸の生成を抑える薬、排泄を促す薬などがあります。
痛風の原因となる尿酸の血液中濃度の正常値は7.0mg/dl 以下です。
この尿酸値を減らし、痛風を予防するには以下の点を日頃から気をつけるようにしましょう。
尿酸値を知る | 健康診断や人間ドックなどで尿酸値を知ることができます。一度でも痛風にかかったことがある方は、定期的に検査を行い、自分の尿酸値を把握しておきましょう。 |
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肥満の解消 | 痛風患者の半数以上が肥満の状態にあり、肥満度が高いほど尿酸値は高い傾向にあります。このため肥満解消のためには総カロリーを制限し、食べ過ぎないことが重要です。そのほか、ウォーキングなどの有酸素運動を行い、適正体重を維持しましょう。 ただし、突然激しい運動を行うと、逆に尿酸値を上昇させたり発作を引き起こすこともあります。運動療法は、無理をせず、習慣化することが大切です。 |
飲酒を控える | 飲酒を控えることにより、尿酸値の上昇を防ぐことができます。これは、アルコール飲料を摂取することにより体内で尿酸が作られ、蓄積されるためです。また、一部のアルコール飲料には、尿酸の元となるプリン体が多く含まれています。 |
積極的な水分 の摂取 |
尿酸がうまく排泄されるよう、できるだけ水分を摂取しましょう。毎日2リットル以上の尿が排泄されるのが理想的です。こまめに水分を摂取するよう心がけましょう。 |