2012年9月4日
食中毒とは、細菌やウイルスが付着した飲食物や有害な物質が含まれた飲食物を摂取することによって、腹痛・下痢・嘔吐・発熱などの健康障害が起こることです。
このうち、細菌が原因となる食中毒を細菌性食中毒といい、気温と湿度が高くなる夏場に多く発生します。その発生件数は食中毒全体の約70~90%を占めるほどです。
原因となる細菌にはそれぞれ特徴があり、分布している環境や食中毒の発生の仕方で大きく3つに分類できます。
サルモネラ | 鶏肉や牛肉のたたき、牛のレバ刺し、卵およびそれらの加工品で加熱をあまりしていない食品などが多い。 潜伏期間:6~72時間 |
---|---|
腸炎ビブリオ | 生鮮魚介類およびその加工品、特に生で食べる刺身や寿司などが多い。 潜伏期間:4~28時間 |
カンピロバクター | 生食または加熱不十分な肉類などが多い。ペットから感染する場合もある。 潜伏期間:2~7日 |
黄色ブドウ球菌 | 人の手を介して感染するため、おにぎり、寿司などの米飯類やサンドイッチなどが多い。 潜伏期間:1~6時間 |
---|---|
ボツリヌス菌 | 酸素のあるところでは増殖できないため、真空パック入り食品、ビン詰めや缶詰めの食品、発酵保存食品などが多い。 潜伏期間:3~30日 |
腸管出血性大腸菌(O157など) | 牛肉、ハンバーガー、ローストビーフ、生乳、サンドイッチ、サラダ、飲料水などが多い。 潜伏期間:4~9日 |
---|---|
ウェルシュ菌 | 酸素を嫌うため、加熱調理された後、長時間室温で放置された料理に多い。カレーやシチューなど。 潜伏期間:6~18時間 |
上記の中でも、牛の腸などにいる腸管出血性大腸菌(O157)やカンピロバクターは、近年、発生件数の増加や重症にいたる事例が大きな問題となっており、2012年7月には、厚生労働省によりレバーなどの生食用牛肉の提供・販売が禁止となりました。
食中毒予防の三原則は「付けない」「増やさない」「やっつける」です。
細菌を「付けない」ために、調理の前には調理器具と手を、食事の前には手を丁寧に洗いましょう。また、生の肉や魚には食中毒の原因となる菌が付着している場合が少なくありません。その菌を汁漏れなどで他の食材に付着させないよう、肉や魚はビニール袋などで包み、野菜など生で食べる食材から離して保存しましょう。まな板などを使って調理する際は、生で食べる食材を切った後に肉や魚を切るようにしてください。
細菌を「増やさない」ために、食材はなるべく早く調理して食べましょう。また、すぐに食べないときは必ず、冷蔵庫・冷凍庫で保存してください。ただし、低温で細菌の増殖は抑えられても、死滅させることはできません。
細菌を「やっつける」ために、調理する際は、食材をよく加熱することが大切です。
食中毒の主な症状は下痢、腹痛、嘔吐などですが、発熱や呼吸困難などの症状が起こる場合もあります。これらの症状が現れた際には、まずは最寄りの医療機関で診察を受けてください。
自宅で静養する際は、脱水症にならないために水分を頻繁にとりましょう。胃腸を刺激しないよう、ぬるいお湯やお茶、スポーツドリンクを飲んでください。また、食事がとれる状態になったときは、消化しやすいものを食べるようにしましょう。