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今月の健康コラム

早期発見が大切「肺結核」

2018年1月12日

日本では結核の約8割は肺結核といわれています。結核菌はとても強い感染力を持ち、人から人に感染します。近年は、特に日本の高齢者に肺結核が増加していることが問題視されて、他の病気の治療薬の影響により、免疫力が低下している人が増えていることが背景にあるといわれています。

肺結核とは

結核とは、結核菌による感染症です。結核菌が肺に感染して起こる病気を「肺結核」といい、肺以外にリンパ節や腸、骨などにも感染します。感染の経路としては、結核菌を発病している人が咳やくしゃみをした時に出る細かいしぶきに結核菌が含まれており、近くにいる人が吸い込んでしまうことで感染するケースがあります(飛沫感染)。人から人へは感染しますが、人から物を介して感染することはありません。
「感染」とは、吸い込んだ結核菌が肺に定着した状態をいいます。感染しても発病するのは10%程度で、健康であれば免疫によって結核菌を抑え込み発病にまで至りません。しかし、体力が低下したり、他の病気などで免疫機能が働かなくなり抵抗力がおちると、抑え込まれていた結核菌が再び活動をはじめ、発病する可能性があります。最初の感染から1年以上、場合によっては10~30年後に発病することもあるのです。(潜在性結核感染症)
肺結核を発病した初期は、咳・たん・発熱など、風邪と似た症状が起こります。2週間以上続く咳は結核を疑うサインですので、医療機関を受診しましょう。早期発見で、病気も治りやすく、周囲の人にうつす恐れも低くなります。

【主な症状】

呼吸器症状
  • 咳やたんが出る(血痰、喀血を含む)
  • 胸痛
  • 呼吸困難  など
一般症状
  • 発熱
  • 発汗(寝汗)
  • 食欲不振
  • 全身の倦怠感
  • 体重減少  など

潜在性結核感染症と診断方法

結核の感染を受けた人は、その後、半年~2年の間に結核を発病するおそれがあります。またそれ以前に受けたことがある人もさまざまな原因により、結核発病のリスクが高まる場合があります。特に他の病気の治療のために免疫を抑える薬を使う時などに発病しやすくなります。このような状態を潜在性結核感染症と呼び、体内に潜んでいる結核菌が発病の準備状態であると考えられています。そのような人には、あらかじめ結核治療の薬を飲み、結核菌をなくすことで、発病のリスクを半分~5分の1程度に抑えることができます。

結核発病の診断方法としては、たんなどを採取して結核菌を検出する「塗沫検査法」「分離培養法」「PCR法」と、胸部エックス線検査を行う方法があります。
また、結核に感染しているかの診断方法は、IGRA検査(インターフェロン-Y測定試験/血液検査)またはツベルクリン検査があります。

結核は感染症法により二類感染症に分類され、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出ることが義務付けられています。結核が疑われる場合は、すみやかに検査を受けかかりつけ医に相談してください。

肺結核の治療と予防法

治療では抗結核薬を6ヵ月以上服用します。結核菌が体内にある場合でも、薬を飲み始めてから約2週間で他者へ感染することはほぼなくなります。抗結核薬は、結核菌が分裂する時に殺菌効果を表しますが、結核菌は10時間以上かけてゆっくりと分裂します。そのため、菌の有無にかかわらず、症状が消えた後も長期間服薬する必要があります。

予防のポイントとしては、まず、乳幼児については予防接種を受けることが大切です。乳幼児が結核菌に感染した場合の重症化を予防することを目的として、生後1歳に至るまでの間にBCGを接種することと定められています。また、成人については結核にかかわらず、さまざまな疾患の早期発見のため胸部エックス線検査を定期的に受けておくことが大切です。

結核菌は飛沫感染によって他人にうつります。せきやくしゃみをする時には、ティッシュやマスクを口と鼻にあて、他の人に直接飛沫がかからないようにしましょう。

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