2019年10月18日
肝臓は体内の老廃物、有害物質を代謝し胆汁として便中に排泄する機能を持っています。胆汁はコレステロール、古くなったヘモグロビンから生成されるビリルビン、胆汁酸、水から成ります。胆汁は肝臓内の胆管(肝内胆管)、胆のう、総胆管を経て十二指腸に排出され脂肪の消化を助ける役割りを担っています。胆石はこの排泄経路のどこかで胆汁成分が固まってできた石のことで、この石によって腹痛などの症状が引き起こされることを胆石症と言います。胆石症は石が出来る場所により肝内結石症、胆のう結石症、総胆管結石症の3つに分類されますがこのうち頻度が高い胆のう結石症、総胆管結石症について説明します。
胆石による腹痛のことを胆石発作といいます。胆石発作は脂肪の摂取、アルコールが引き金になることが多いです。痛みの場所は右上腹部、みぞおちが多数を占めますが背中や右肩のこともあります。吐き気や嘔吐を訴える人もいます。胆管内の石によって胆汁の流れが妨げられると黄疸を生じ眼球結膜(白目)、皮膚が黄色くなります。胆汁中で細菌が増殖すると発熱することがあります。石が総胆管の出口(十二指腸乳頭)につまると膵炎を併発し症状がさらに悪化します。
胆石症を疑ったらまず腹部超音波検査を行います。胆石の大きさ、数、存在部位、胆のうの腫れの有無、胆管の拡張の有無、膵臓の腫れの有無などを調べます。その後、CT検査、MRI検査等を行い診断をより確実なものにします。採血検査で白血球、CRP(炎症反応)上昇の有無、肝機能(ALT,AST,ALP,γ-GPT,ビリルビン)異常の有無、血清アミラーゼ(膵消化酵素)上昇の有無などを調べます。
胆石発作を起こした場合には、食物摂取は症状を悪化させるため絶食、補液を行います。細菌感染を起こした場合は抗生剤を、膵炎を合併した場合は膵炎治療薬を投与します。胆石があっても発作の無い場合には、経過観察を行う場合もあります。
■胆のう結石症
発作を一度でも起こした場合には、結石を胆のうごと摘出します。現在は腹腔鏡を用いた手術が主流となっています。一時的に経皮的に胆汁を体外に排出してから手術を行うこともあります。胆石の種類によっては体外衝撃波、溶解療法の適応になる場合もあります。
■総胆管結石症
内視鏡的に胆汁の出口(十二指腸乳頭)を切開し石を取り出します。一時的に内視鏡的に胆汁を体外に排出する処置を行うこともあります。
過食、肥満、アルコールの過剰摂取は胆石形成の原因となりますのでバランスの良い食生活を心がけ、適度な運動を行いましょう。また、脂肪の多い食事、アルコール摂取は胆石発作の引き金となりますので胆石を指摘された方はお気をつけください。胆石症を疑ったらかかりつけ医に相談しましょう。