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今月の健康コラム

若い世代に増えている「子宮頚がん」

2019年11月6日

子宮頚がんの発症の多くは40~50歳代でしたが、最近では若い女性に増えていて、30歳代後半が発症のピークとなっています。また、2000年以降は患者数、死亡率も増加しています。ワクチンの接種で予防を心がけたり、早期発見が重要となるため定期検診を受けたりすることが大切です。

子宮頚がんとは

 子宮下部の管状の部分を子宮頚部、子宮上部の袋状の部分を子宮体部と呼び、頚部にできるがんを子宮頚がん、体部にできるがんを子宮体がんといいます。子宮頚がんは子宮がんの約7割を占めています。以前は40~50歳代に多く発症していましたが、最近では若い女性の発症が増えており30歳代後半が発症のピークとなっています。早期には症状がほとんどなく進行してくるとおりものの異常や月経以外の出血、性交時の出血、下腹部痛などの症状があらわれます。子宮頚がんは早期に発見すれば比較的治療しやすく予後のよいがんですが、進行すると治療が難しいことから、早期発見が極めて重要です。

子宮頚がんとヒトパピローマウイルス(HPV)

 子宮頚がんのほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因で、主な感染経路は性的接触によるものです。HPVには100種類以上の型がありますが、その中で子宮頚がんに関与するHPVの型がわかってきています。男性にも女性にも感染するありふれたウイルスで、性交経験のある女性の約80%の方が一度はHPVに感染するといわれています。感染しても90%の方は無症状のまま免疫の力で自然にHPVが排除され発症することはありません。HPVが排除されずに持続感染した一部の方が軽度異形成→中等度異形成→高度異形成→上皮内がん→子宮頚がん(浸潤がん)と進行します。

子宮頚がん予防ワクチン(HPVワクチン)

 HPVワクチンの接種によってHPV感染率や前がん病変の頻度が接種していない人に比べて減少することが明らかになっています。WHOは性交渉を経験する前の接種を推奨していて日本でも2013年から定期接種となっています。接種後に慢性疼痛や運動障害などの多様な症状が現れたという報告があり現在は積極的勧奨が控えられていますが、定期接種として公費助成による接種が可能です。厚生労働省の報告によると接種後の多様な症状については原因がワクチンにあるという科学的根拠は示されていません。詳細については厚生労働省と日本産婦人科学会のホームページをご覧ください。

子宮頚がん検診

 子宮の入り口部分をブラシなどで擦り、細胞を採取して顕微鏡でがん細胞や前がん病変の細胞を見つけます。結果によっては、HPVの感染があるかどうかを調べる検査を行うことがあります。精密検査ではコルポスコープ(拡大鏡)下で組織診を行ったり、子宮の入り口を円錐状に切除(円錐切除術)して組織診を行います。子宮頚がんは早期には症状がほとんどないため、20歳を過ぎたら出血などの症状がなくても2年に1回の検診を受けてください。

さいごに

 子宮頚がんの原因となるHPV感染予防のためにワクチン接種が大切です。また、子宮頚がんは発症しても早期の場合には円錐切除術を行って子宮頚部の一部と子宮体部を温存できるので妊娠が可能です。早期発見のため定期的な子宮頚がん検診を受けてください。

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