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今月の健康コラム

たばこが原因の病気「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」

2019年12月6日

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、肺の生活習慣病として知られています。長年の喫煙習慣によって引き起こされることが多く、肺の呼吸機能が低下していきます。ぜん息に似た症状が起こり、悪化すると身体全体に悪影響を及ぼす病気です。一度肺の機能が低下すると、元に戻りませんが、早期発見で進行を止めることができます。喫煙習慣がある人で症状が疑われる場合には、医療機関に相談してください。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは

 COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは、慢性気管支炎や肺気腫などの病気の総称です。たばこの煙などの有害物質の長年の吸入や大気汚染が原因で、肺の細い気管支が炎症を起こし、痰や咳が多くなります。炎症によって気管支の内側が狭くなることで、空気の流れが悪くなり、呼吸がしにくくなります(慢性気管支炎)。

 さらに有害物質で炎症を起こすと、気管支が枝分かれした奥にある肺胞の壁が壊れ、空気をうまく吐き出せなくなり、酸素不足を引き起こし息切れしてしまいます(肺気腫)。COPDは、別名たばこ病とも呼ばれるほど、たばこの煙が原因となることがほとんどです。初期は無症状で、肺の機能は徐々に低下していきます。肺の機能が低下してくると、痰を伴う咳や息切れが長年にわたって続き、息を吐く時間が伸びます。ぜん息のような息がぜいぜいとする喘鳴や発作性呼吸困難などの症状が出ることもあります。悪化すると、体重の減少や気胸、心不全、呼吸不全、肺炎に発展する場合もあります。重症化を防ぐためには、早期発見と早急な禁煙が必要です。

COPDの身体への影響と増悪

 COPDは肺の病気ですが、虚血性心疾患や骨粗しょう症、糖尿病など、全身に関わるさまざまな病気を併発する場合があります。また、肺がんはCOPDの中でも多く認められ、軽症のCOPD患者の死因では1番多いのです。他の病気の治療が不十分である場合にも治療が難しくなるため、COPDの進行前に発見し、他の病気もコントロールする必要があります。

 風邪やインフルエンザなどの呼吸器の感染症をきっかけとしてCOPDの症状が悪化します。これをCOPDの急性増悪と言います。この状態になると肺機能が低下し息切れの悪化、咳や痰の増加などの症状が起こります。そのほか、頻脈、倦怠感、不眠症などの症状がみられる場合もあります。COPDの急性増悪は症状を重症化させ、命にかかわることがありますので、早めに対処をすることが重要です。

COPDの診断と治療法

 長期の喫煙歴があり、慢性的に咳や痰、階段の上り下りなどでの呼吸困難がある場合には、COPDが疑われます。医療機関で問診、呼吸機能検査、画像検査などを行い、症状が非常に類似している喘息という病気を除外したうえで、肺の状態を詳しく調べ、診断します。

 COPDと上手に付き合っていくためには、日頃のセルフマネジメントが欠かせません。COPDのセルフマネジメントで、最も重要な治療は「禁煙」です。また「運動療法」も重要です。体力をつけることで、筋力低下による息切れを予防し、悪循環を改善します。運動は症状に合わせて無理せず行いましょう。歩行からスタートし、運動の種類を徐々に増やしていくと効果的です。息切れが強い場合には、ストレッチなどの基礎的なトレーニングがおすすめです。運動だけでなく、家事などで日常生活の中で積極的に体を動かすようにしましょう。

 さらにCOPDは、呼吸をするためにより多くの栄養が必要となりますが、食欲が低下し栄養不足になりがちの人が多いです。やせすぎは息切れを増長するため、「栄養療法」でしっかりと栄養管理を行うことが大切です。

 そのほか、吸入薬などを利用する「薬物療法」、自宅で酸素を吸入し生活をしながら療養する「在宅酸素療法」があります。これらを行うことで、生活の質(QOL)が向上していきます。症状が疑われる場合は、医療機関を受診し、適切な処置を受けることが大切です。

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