2021年6月8日
スマホやゲーム端末など、デジタルデバイスの普及が著しい昨今、子どもの視力への悪影響が懸念されています。メガネやコンタクトレンズで視力を矯正することは可能ですが、子どものうちに近視が進行しないよう日ごろの習慣を見直し、視力低下の防止に努めましょう。
眼球は、光を取り入れ、その刺激を電気信号として脳へ伝達する働きを担っています。具体的には、角膜と水晶体で屈折した光が網膜にあたると、網膜が光を電気信号に変えて脳に伝えます。
子どもの近視の主な要因は、眼球の直径である「眼軸」の過度な伸長です。眼軸は体の成長とともに大きくなり、生まれた直後は17mmほどですが、14~15歳ごろには成人の平均である24mmまで伸長します。この眼軸が伸びすぎてしまうと、本来網膜上で結ばれるはずの光の焦点が、網膜より手前で結ばれて、ピントが合わなくなります。眼軸が過度に伸長する理由は、今のところはっきりとはわかっていませんが、遺伝や近くを見続ける作業の多さなどが関係しているのではないかといわれています。
文部科学省が実施している2019年度学校保健統計調査によると、裸眼視力が1.0未満の子どもの割合は、小学生で35%、中学生が57%、高校生が68%と、いずれも昭和54年度の調査開始以来最多となりました。
この結果をもとに、日本学校保健学会が生活習慣が視力低下に与える影響を調査したところ、近見作業である読書や勉強の時間が増加するのに比例して、近視の割合も増加することが分かりました。一方で、テレビの視聴時間については、減少するほど近視の割合が高くなることも分かっています。これは、テレビの視聴時間が減少するのに比例して、スマートフォンやゲームの使用時間が増加するためだと考えられています。
生活に支障がないからといって子どもの視力の低下を放置すると、黒板の字が読みにくいなど学業に影響が出る恐れがあります。日ごろの生活習慣を見直し、親が意識的に注意を促しながら、子どもの目に優しい環境づくりに努めましょう。
ものを見るとき目を細めるなど見えにくそうにしている、または子どもから見えにくいなどの訴えがあった際には、早めに眼科専門医を受診し検査を受けましょう。
【学童の近視進行予防7項目】
参考:近視研究会