2022年10月7日
幼小児期にみられる「熱性けいれん」。突然の症状に慌ててしまいがちですが、ほとんどは数分でおさまるため、落ち着いて対処することが大切です。けいれんが長く続く、頻発する、といった場合には、熱以外の発生原因も疑われるため、救急車を呼ぶようにしましょう。
生後6ヵ月~5歳ぐらいまでの間に、発熱に伴って生じるけいれんです。日本の小児の約5~8%が起こすといわれています。そのうちのほとんどが3歳までにはじめての熱性けいれんを起こし、約30%は再発しますが、成長にともなって小学校低学年までにほとんどみられなくなります。
原因ははっきりとはわかっていませんが、親や兄弟で熱性けいれんの経験があると、生じやすくなるとされており、遺伝的な要因も関連しているのではないかといわれています。
予後は良好とされていますが、3~5%はてんかんに移行するといわれているほか、他の病気が疑われる可能性もあります。初めての熱性けいれんの場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
熱性けいれんは、急激に熱が上昇したときに起きやすく、熱が出てから24時間以内の発生が80%といわれています。
発生の仕方はさまざまです。手足を固くして突っ張る、手足をピクピクさせるという症状のほか、目の焦点が合わなかったり、かたよっていたりといった目の症状、嘔吐、失禁などがあります。通常は2~3分でおさまり、意識も次第に戻りますが、5分以上のけいれんや、1日に数度繰り返す場合、けいれんは止まったが意識がはっきりしない、手足がマヒしているような場合には、救急車を呼ぶようにしましょう。
熱性けいれんが起こったら、唾液や吐物を誤嚥しないように、子どもを横向きに寝かせましょう。呼吸がしやすいように、顎をすこしあげた気道確保の体位をとらせます。口の中に吐物があったら取り除きます。舌をかまないように物を噛ませるのは呼吸を妨げるので行いません。
体のつっぱりやけいれんが止まっても、意識がしっかり回復するまでは呼吸や顔色などの様子の観察を続けます。呼吸が不安定な場合、30分以上たっても意識が戻らない場合には、病院を受診しましょう。
けいれんが持続している時間や、けいれん中の様子をスマートフォンなどで記録しておくと、診察の際に役に立ちます。保護者は慌てずに対処することが、とても大切です。
熱性けいれんを繰り返す子どもには、発熱時にけいれん予防の座薬(ジアゼパム)を使うことがあります。使用の仕方についてはかかりつけ医にご相談下さい。