2022年11月8日
卵巣のう腫茎捻転は、卵巣に発生した「のう腫」という腫瘍が原因で起こる疾患です。女性であれば誰でも発症する恐れがあり、とくに20~30代の性成熟期に発症しやすいとされています。突然生じる下腹部の強い痛みが特徴です。卵巣のう腫の発生は予測できないため、日ごろから定期的な検診を心がけ、下腹部に違和感があれば、すぐに医療機関を受診しましょう。
卵巣は、子宮の左右に一つずつ垂れ下がった状態で存在する臓器です。体の向きや動きにあわせてプラプラと揺れ動いて、通常はすぐに元の位置に戻ります。
ところが、卵巣に「のう腫」と呼ばれる袋のような腫瘍ができると、動いた際に子宮とつながっている部分でねじれ、そのまま元の位置に戻らなくなることがあります。この状態を卵巣のう腫茎捻転といいます。
主な症状は下腹部の激しい痛みです。痛みの度合いによっては、吐き気や嘔吐などの消化器症状があらわれることもあり、場合によりショック状態になることがあります。
またねじれによって血流が途絶えるため、卵巣が壊死することがあります。とくに茎捻転が起こってから数時間~1日程度経過し、下腹部に痛みがなくなった場合には壊死している可能性があります。卵巣の機能を失う恐れもあるため、茎捻転が疑われる際は早急に医療機関を受診しましょう。
茎捻転を発症した場合、ねじれを元に戻し、卵巣のう腫を取り除く手術を行います。これまでは開腹手術が一般的でしたが、腹腔鏡下手術を行うケースも増えています。手術方法は患者さんの年齢や出産希望の有無によって異なるため、医師と十分に話し合って決めることが大切です。ただし、すでに卵巣組織が壊死している場合には、すぐに卵巣と卵管を摘出する必要があります。
茎捻転を未然に防ぐために、定期的な婦人科検診で卵巣のう腫の早期発見に努めましょう。