2024年5月16日
加齢とともに心身にさまざまな不調が現れる更年期障害は、女性特有の病気として認知されがちですが、男性でも発症する可能性があります。男性の更年期障害はLOH症候群(Late Onset Hypogonadism、加齢性腺機能低下症)とも呼ばれ、のぼせや全身の倦怠感などの身体症状と、不眠や集中力の低下といった精神症状が現れます。発症は50~60代に最も多くみられます。
男性ホルモンであるテストステロンは、10代前半から急激に増加しはじめ、20歳ごろでピークを迎えたあと、加齢とともにゆるやかに減少していくとされています。しかしストレスや何らかの原因によってテストステロンが急激に減少すると、体内のホルモンバランスが崩れ、心身にさまざまな不調が現れます。このような状態を男性更年期障害(LOH症候群)といいます。
発症は40代後半ごろからみられ、最も多いのは50~60代といわれています。閉経の前後5年で発症する女性の更年期障害に対して、40代以降であればいつでも発症する恐れがあるのが男性更年期障害の特徴です。また発症期間が定まっていないのも、女性の更年期障害との違いです。
男性と女性の更年期障害の違い | ||
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男性 | 女性 | |
原因 | 男性ホルモンの低下 | 女性ホルモンの低下 |
時期 | 特に決まっていない(40歳以降いつまでも) | 閉経の前後5年(50歳前後) |
期間 | 終わりがない | 閉経後5年ほどで症状が落ち着く |
次のような身体症状と精神症状が現れます。
■身体症状
■精神症状
症状は多岐にわたり、度合いや現れ方は個人によりさまざまです。50代以降で発症することが多いため、加齢によるものだと思い込み、放置して重症化するケースも少なくありません。また症状が似ていることから、うつ病と誤認識することもあります。
男性更年期障害を発症すると、メタボリックシンドロームや心筋梗塞、脳梗塞、がんなどの生活習慣病のリスクが高まるとされています。これらの症状が疑われる場合、泌尿器科を受診しましょう。
テストストロン値を元に、患者の症状や年齢、ライフスタイルに合わせて治療方法を選択します。軽度の場合は薬物療法で症状の改善をはかります。数値が著しく低く、症状が深刻な場合は、テストステロンを2~4週ごとに筋肉注射する「ホルモン補充療法」を行います。
治療には、適度な運動とバランスの良い食事で生活習慣を整えることも大切です。テストステロンを増強させるといわれるネギ類や納豆、アボカドなどの食材を積極的に摂るように心がけましょう。