2025年3月10日
大腸に炎症が起こることで、下痢や血便などの症状が現れる指定難病です。完治することはありませんが、薬の服用により炎症を鎮められれば、症状の程度にもよりますが、発症前と同じ生活を維持することが可能です。ただし一度炎症が落ち着いても、再び炎症が起きることが多いです。医師の指示に従って、治療を継続しましょう。
大腸の粘膜にただれや潰瘍ができる病気です。原因がわからない、治療法が確立していないなど、いくつかの条件を満たす病気として厚労省が定める指定難病の一つです。原因は明らかになっていませんが、ウイルスなどを追い出そうとする免疫反応が過剰に起こることによって、自身で大腸を傷つけることなどが考えられています。また遺伝子も発症に関与することが分かっていますが、遺伝によってのみ発症するわけではなく、食生活などのさまざまな要因が影響しあって発症すると考えられています。
炎症は肛門近くの直腸から、盲腸に向かっていくように広がっていきます。炎症の範囲によって、以下の3つに分類されます。
国内の総患者数は、二十数万人と推計されています。発症のピークは20~30歳です。
持続性または反復性の粘血便・血便がみられます。また腹痛が伴うこともあります。症状が悪化するにつれて、体重の減少や貧血など、全身に症状がみられるようになります。
炎症の度合いに合わせた薬で、内服治療を行います。直腸炎型では坐剤・注腸剤を使用することもあります。多くの場合で症状は改善しますが、薬が効かないほど症状が重かったり、出血がみられたりしているときには、大腸全体を切除する手術を行います。
潰瘍性大腸炎は完治することはありませんが、治療で炎症を落ち着けることができ、炎症がない時期を寛解期、症状もしくは炎症がある時期を活動期といいます。人によって経過はそれぞれ異なり、以下の4つに分けられます。
症状が改善することができれば、発症前と変わらない生活を維持できますが、再び炎症が悪化することもあります。薬を忘れずに服用し続けて、状態を維持することが大切です。