2011年8月26日
とびひとは、正式な病名を「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」といい、主に黄色ブドウ球菌の感染によって起こる皮膚の疾患です。感染すると水疱(水ぶくれ)ができます。この水疱は破れやすく、中の菌が体中に広がって飛び火のように次々と新しい水疱をつくっていくことから、一般的にとびひと呼ばれています。
主に擦り傷や虫刺され、あせも、湿疹などの皮膚にできた浅い傷から細菌が入り込み、感染することで発症します。幼児に多くみられ、高温多湿で汗をかきやすい夏に増える傾向がありますが、近年は暖房などの充実により、冬でもみられるようになりました。また、大人が発症するケースもあります。
とびひは、早期治療を行えば短期間で治すことができます。少しでもとびひの症状が疑われたら、すぐに皮膚科や小児科を受診しましょう。とびひは、放置したり誤った処置をしたりすると、まれではありますが、細菌の毒素が血中にはいり、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群という重症の感染症に移行することがあります。また、腎炎の合併がみられることもあり、必ず医療機関で適切な治療を受けるようにしましょう。
病院の治療では、多くの場合、抗生物質の内服薬と外用薬(塗り薬)が処方されます。治療によって症状がやわらいできても、医師に指示された期間内は必ず薬の服用を続けてください。
また、患部を清潔に保つことも大切です。家ではシャワーなどで患部を優しくきれいに洗い流し、通気の良い清潔なガーゼで覆ってほかの場所への感染を防ぎましょう。密封性が高すぎる絆創膏は厳禁です。
とびひは伝染力の強い疾患です。ほかの人が感染しないためにも、普段の生活の中で注意が必要となります。
必ずしも園や学校を休まなければならない病気ではありませんが、登園・登校については医師や園、学校と相談するようにしましょう。登園・登校する際は、ガーゼや包帯などで患部を覆い、爪を短くしておくなど、ほかの子どもにうつしてしまわないようケアが必要です。また、とびひが治るまではプールに入ってはいけません。タオルや衣類などの共用も避けましょう。
子どもがとびひにかかった場合は、完治するまで保護者が責任を持って気をつけることが大切です。