2011年12月7日
マイコプラズマ肺炎は、「マイコプラズマ」という微生物が原因となって起こる呼吸器の病気です。せきなどによる「飛沫感染」で広まり、特に子どもや若い世代に多くみられます。通常の肺炎に比べて重く感じることは少ないものの、せきが長い期間続き、なかなか治らないのが特徴です。
マイコプラズマ肺炎を発症すると、まず、発熱や頭痛の症状が出て、気分もすぐれないことが多くなります。症状が出て数日経過するうちに、だんだんとせきがひどくなり、たんが混じるようになってきます。こうした症状が、個人差もありますが4週間ほど続きます。
マイコプラズマ肺炎は、症状が軽いからといって治療が遅れると、髄膜炎や脳炎などの合併症にもつながってしまいますので、注意が必要です。
このマイコプラズマ肺炎が、今年、全国的な流行をみせています。例年は秋から冬にかけて患者が多くなるとされていますが、今年は春から流行が始まり、秋になってますます増えてきました。
その流行の背景のひとつに、これまで効果的とされていた抗生物質が効かない耐性菌が多くなってきていることが挙げられます。さらに、マイコプラズマ肺炎を予防するワクチンは、現在のところありません。これまで以上に日頃からの予防の心掛けが大切になっているのです。
マイコプラズマ肺炎の基本的な予防法は、かぜと同じく、こまめなうがい、手洗いやマスクの着用により病原体の侵入を防ぐこと、食事・休養を通して体力を低下させないことです。流行している間はできる限り人込みを避けることも覚えておいてください。
また、感染してから発症するまでの潜伏期間が数週間と長いこと、また症状が比較的重くないため、家庭内や学校、職場での集団感染が起こりやすくなります。せきが出ているときは自分が感染していないかを疑い、広めないようにすることも求められます。
かかってしまったときは、市販の風邪薬などはあまり効果がありません。医師の診断を受け、合併症など起こさないよう確実に治療をすすめるようにしてください。