2012年2月13日
ピロリ菌が胃の中に生息しているということが分かったのは、およそ30年前のことです。それまでは、胃の中には胃酸があるため細菌は存在しないと考えられていましたが、ピロリ菌が、胃や十二指腸の粘膜に入り込んで、胃炎や胃潰瘍を引き起こす原因となっていることが明らかになりました。
この発見により、胃潰瘍の治療は、大きく変化しました。ピロリ菌を取り除く治療(除菌)により、治療の効果が大きく改善したのです。
その後、胃がん患者のなかにピロリ菌の感染者が多いことも分かってきました。さらに、胃に発生するMALTリンパ腫という悪性リンパ腫や、血液の病気である特発性血小板減少性紫斑病、また一部のアレルギー疾患にも関連していることが分かっています。ピロリ菌を取り除くこと(除菌)により、こうした病気の発生が予防できると期待されています。専門医の学会(日本ヘリコバクター学会)からも、病気の有無にかかわらず、除菌を受けることが強く推奨されています。
保険診療で治療することができる、 ピロリ菌に関係のある病気 |
・胃潰瘍、十二指腸潰瘍 ・早期胃がん内視鏡治療後の胃 ・胃マルトリンパ腫 ・特発性血小板減少性紫斑病 |
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胃の中にピロリ菌がいるかどうかを、尿素呼気試験や、内視鏡で採取した組織の検査などによって検査し、感染が明らかになった時は、7日間の服薬により治療がおこなわれます。
ピロリ菌は、胃の粘膜に持続的に炎症を引き起こし、やがて胃がんの発病にまでつながると考えられています。胃がんの発生を予防するためのピロリ菌の検査や治療は、2012年2月現在、保険診療ではなく自費診療となってしまいますが、胃がんになってからの治療と比べれば、はるかに負担が少なく済みます。おもに、胃腸科、消化器科などの医療機関で行っていますので、ぜひご相談ください。