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今月の健康コラム

バセドウ病

2016年6月7日

近年、芸能人やスポーツ選手などが発病を公表したことで認知度も上がり、病気が注目されるようになった「バセドウ病」。実は、誰にでも突然発病する可能性がある非常に身近な病気なのです。発病年齢は、20~30代が全体の過半数を占め、男女比は1:5と男性よりも女性に多い病気です。

バセドウ病とは?

のどぼとけの下にある「甲状腺」で生成される甲状腺ホルモンは、体の新陳代謝を活発にする役割を持っています。そのホルモンが、分泌過多になり、過剰な状態を甲状腺機能亢進症、いわゆる「バセドウ病」と言います。バセドウ病は、何らかの異常による「自己免疫疾患」(自分自身の体を攻撃目標とする抗体を作ってしまう病気)が原因とされ、遺伝的な要素もある程度関係しているとされています。
特殊なタンパク質が甲状腺を直接刺激してしまうことで発病し、甲状腺腫(のどぼとけの下が腫れる)で発見されることが多い病気です。エネルギーの消費が多く、疲れやすいというのもこの病気の人に多い症状です。

症状と合併症

● 症状

代表的な症状

1. 甲状腺腫
甲状腺の腫れ、くびの前面が全体的に膨らみ太くなったように見えます。甲状腺全体がそのままの形で腫れる「びまん性甲状腺腫」といいます。人によって腫れの程度はさまざまですが、一般的には若い人の方が大きく腫れやすい傾向があります。

2. 眼球突出
眼の出る病気といわれますが、実際にはそう多い症状ではなく、発病前と比べてはっきり症状が出る人は2割程度です。眼球が突出しなくても、上のまぶたが腫れたり(眼瞼腫張)、まぶたが上の方に引っ張られるため目が大きくなったように見える(眼瞼後退)こともあります。

3. 甲状腺ホルモンの過剰によって起こる症状

  • 動悸がおさまらない
  • 眠りが浅く、よく眠れない
  • 手足の先が小刻みに震える
  • 生理不順
  • 疲れやすい
  • いくら食べても太らない、体重が減少する
  • 汗をかきやすい
  • お腹がゆるい

● 合併症

1. 心臓の病気
心臓の働きに負担がかかることで血液の循環が悪くなり、不整脈や心不全をおこします。

2. 甲状腺クリーゼ
体が強いストレスを受けた時に、高熱、激しい頻脈(1分間に150以上)、下痢、大量の汗、意識状態の混濁や意識不明といった状態になります。

3. 周期性四肢麻痺
激しい運動や過食のあと手足に力が入りにくくなる状態が繰り返しおきます。

診断と治療

甲状腺が柔らかく腫れていて、目立ったしこりや痛みがなく、血液検査で甲状腺ホルモン値が高いとバセドウ病であることが疑われます。血液中の甲状腺ホルモンの量を正常にコントロールすれば、健康な人と変わらない生活ができます。バセドウ病は、下記のような治療法があります。

  内 容
薬物療法 1~2年程度抗甲状腺薬を服用し、定期的に通院することで甲状腺ホルモンの値を確認していきます。数値が安定すれば徐々に薬の量を減らすなど、医師と相談しながら調節していく必要があります。
ラジオアイソ
トープ療法
放射線ヨウ素が含まれたカプセルを飲むことで、ピンポイントでの甲状腺治療が可能です。カプセルを一度服用するだけなので、体への負担も少なく、簡単・確実な治療法での効果が期待できます。
手術療法 甲状腺を一部残して取り除いてしまう方法です。甲状腺の腫れが大きい場合、腫瘍の合併症が生じている場合や上記の治療で効果が得られなかった場合などに行われます。

副作用や各々の健康状態によって、一人ひとりに合わせた治療が求められます。専門医に相談し、自分に合った治療法を探していくことが大切です。気になることがあった場合は、すみやかにかかりつけ医に相談しましょう。

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