2016年9月20日
視神経に異常が起こり、目で見た情報が脳にうまく伝わらなくなって画像を認識できなくなり、視野や視力に障害が起こる病気です。緑内障の進行は一般的にゆっくりです。症状は、視野が狭くなる視野狭窄、狭窄部位が視野の中心に及ぶと視力低下をきたします。しかし日常では両眼を使って見ているため、片方の眼に見えない部分があっても、もう片方の眼でカバーしてしまうため、症状がかなり進行しないと自覚症状があらわれません(慢性緑内障)。
一方、上記に対し急激に眼圧が上昇して発症する緑内障もあり(急性緑内障)、頭痛や吐き気、眼痛、充血など激しい症状がみられます。
眼球はその内部を流れる房水(ぼうすい)という液体で満たされています。眼球の中を循環し、眼球内の組織へ栄養分を運搬したり、眼球の硬さを一定に保つ役割をしています。この眼球の硬さを眼圧といい、視神経の異常に深く関係しています。房水の分泌と排出のバランスが崩れて眼圧が高くなると、網膜に広がっている視神経を圧迫して障害されてしまうことが原因です。しかし、眼圧が正常でも視神経がその圧力に耐えられなくて障害が起こる場合もあります。
● 構造による分類と症状
原発開放 隅角緑内障 |
房水の出口である線維柱帯が徐々につまり眼圧が上昇し、ゆっくりと症状が進んでいきます。 |
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正常眼圧 緑内障 |
上記と発症のメカニズムは同じですが、眼圧が正常値であるにもかかわらず視神経が傷害されているケースで、開放型緑内障に分類されます。日本では正常眼圧緑内障が最も多く、緑内障患者の6割を占めています。 |
原発閉塞 隅角緑内障 |
隅角が閉塞状態になり、房水の排出がうまくいかず、眼圧が上昇するものです。慢性的に隅角が閉塞していくこともありますが、急速に隅角が閉じると急性緑内障発作となります。 |
※その他、生まれつきの眼球形態異常により発症する発達緑内障、ステロイドなどの薬剤や目の疾患にともなっておこる続発緑内障などもあります。
● 緑内障の治療
いったん損なわれた視神経は回復できないので、進行を遅らせるしか方法はありません。できるだけ視神経の障害が少ないうちに病気を発見して、治療を始めることが失明を回避する近道となります。ほとんどの場合は眼圧を下げるための点眼薬で治療、それでは効果不十分で視野狭窄が進行するならば手術、急性緑内障ではレーザー治療や観血的治療等があります。
● おわりに
初期に自覚症状がほとんどない緑内障では、病気の早期発見のために検査がとても重要となります。人間ドックや検診、別の目的で眼科受診した際に見つかることも少なくありません。見えにくさに気づいても、年齢のせいだから仕方ないと自己判断し、受診時期が遅くなってしまうケースもあるようです。
少しでも目の異常を感じたら近くの眼科を受診し、検査を受けるようにしましょう。