2016年11月9日
麻しんは急性熱性発疹性の感染症です。麻しんウイルスは人から人へと感染するウイルスで、空気感染のほかに、飛沫感染、接触感染など、多くの経路によって感染し 1人の発症者から12~14人に感染させるといわれています。感染可能期間は、発熱等の症状が出現する1日前から発疹出現後4~5日目くらいまでです。感染力が非常に強い病気で、肺炎や脳炎などの深刻な合併症を起こすと約1000人に1人が死亡します。1980年ころまでは、世界中で流行していましたが、ワクチンの普及により年間死亡者数は年々減少しています。日本では2015年3月WPRO(WHO西太平洋事務局)によって、我が国は「麻しんの排除状態にある」ことが認定されました。しかし、海外からの持ち込み症例を発端とした流行は日本でもしばしば発生しており注意が必要です。
麻しんウイルスに感染すると、10~12日の潜伏期間後に発熱や咳などの症状が発症し、病期は3期に分けられます。
カタル期 | 38度前後の発熱が1~2日続き、倦怠感、咳、鼻水、くしゃみなどの症状が現れます。乳幼児では下痢、腹痛等の消化器症状を伴うことも少なくありません。この時、口腔内の頬の裏側にコプリック斑という約1mm径の小さな白色の斑点ができます。 |
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発疹期 | 3日ほど経つといったん解熱傾向になりますが、解熱後、半日程度経過すると再び39度以上の高熱をきたすようになり、同時に体中に発疹が現れます。発疹は耳の後ろ、首、額あたりから出始め、翌日には顔面、体幹部、上腕にまでおよび、2日後には四肢末端にまでいたります。カタル期の症状は一層強くなります。 |
回復期 | 発疹が3~4日続いた後、解熱傾向となり、カタル期の症状も軽減していきます。同時に発疹症状もおさまり、合併症などが出現していなければ7~10日後に回復していきます。 麻しんを発症すると、完全に回復するまでは1カ月ほどの時間を要します。また、リンパ機能などの免疫力が低下するため、病後しばらくはほかの感染症にかかると重症になりやすいため、十分な注意が必要です。 |
麻しんは、麻しんウイルスが人から人へ感染していく感染症であり、他の生物は媒介しません。麻しんウイルスは飛沫核の状態で空中を浮遊し、それを吸い込むことで感染します。マスクを装着しても感染を防ぐことは難しいです。麻しんの感染発症を防ぐ唯一の予防手段は、あらかじめワクチンを接種し、麻しんに対する免疫を獲得しておくことです。
麻しんにかかってしまった場合は、これといった特効薬はないため、対症療法が中心となります。対症療法とは疾患の原因そのものを治療するのではなく、各症状を緩和させるための治療です。水分を摂取できない場合は、点滴治療による補液が必要となることもあり、症状が重い場合や合併症を起こした場合は、入院治療が必要となります。
少しでも異変を感じたら、必ずかかりつけ医に相談しましょう。
詳しくは、千葉市のホームページをご覧ください。
麻しん風しんの予防接種のご案内