2018年7月31日
水ぼうそうは、水痘帯状疱疹ウイルスによって引き起こる発疹性の病気です。ウイルスに感染してから2週間程度の潜伏期間を経て、発熱後に皮膚の表面が赤くなり、強いかゆみを伴う紅斑の発疹が全身に現れます。その後、水疱となり、粘度のある液体がふくまれる水疱や膿疱を経てかさぶたとなって(痂皮化)治癒します。水ぼうそうは子どもにかかることが多く、9歳以下での発症がほとんどです。子供の場合、重症化すると熱性けいれん、肺炎、気管支炎などの合併症にかかる場合があります。まれに成人でも発症することがあり、注意が必要です。
水痘帯状疱疹ウイルスは、麻しん(はしか)と同様に感染力が大変強く、空気感染、飛沫感染、接触感染により広がります。水ぼうそうにかかったことがない人は、患者さんにあまり近づかないように注意してください。学校保健安全法により、「すべての発疹がかさぶたになるまで」登校を停止するよう定められているため、症状が疑われる場合は、医師に相談するようにしてください。
水ぼうそうと帯状疱疹は、ともに水痘帯状疱疹ウイルスが原因で起こる病気です。水ぼうそうは水痘帯状疱疹ウイルスにはじめて感染したときに起こる病気です。いっぽう帯状疱疹は、水ぼうそうに感染したことがある人の免疫力が下がったときなどに起こる病気で、一般的に大人や高齢者が発症しやすく、帯状疱疹後におこる神経痛は激しいことが多いです。
水ぼうそうによって体内で増えたウイルスは、水ぼうそうが治っても体内からすべて消えるものではありません。神経細胞の中で静かに生き続けて、その人の免疫力が下がった時に、知覚神経(痛みを感じる神経)を傷つけながら伝わって帯状疱疹を起こします。帯状疱疹そのものや、後の神経痛を少しでも軽くするために、水ぼうそうにかかったことのある高齢者に対してもこのワクチンが使われるようになってきています。
水ぼうそうは、ワクチンで予防します。1回の接種によって水ぼうそうの重症化を予防できます。2回接種すると水ぼうそうの発症をほぼ予防できると考えられています。2014年10月から1~2歳児は定期接種として受けられるようになりました。定期接種は、生後12か月~36か月に至るまでの間に行います。1回目は生後12か月~15か月、2回目は1回目の接種から3か月以上経過後になります。すでに水ぼうそうを発症したことがある方はすでに免疫を持っているため、接種する必要はありません。一方で、定期接種対象年齢以上で水ぼうそうにかかったことがない方は、重症化する恐れがあるため、ワクチンを2回接種することをおすすめします。
水ぼうそうになった場合は、原因となるウイルスの増殖を抑える治療と、発熱・かゆみなどの症状をやわらげる治療があります。症状の程度は人によってさまざまなので、医療機関を受診して症状に合わせた治療を受けましょう。
● 水ぼうそうの注意点