2018年8月30日
背骨の腰の部分は5つの椎骨で構成され、椎骨と椎骨の間にはクッションの役割をする椎間板があります。その椎間板に老化や激しい運動などが原因でひびが入り、椎間板内の髄核というゼリー状の組織が一部飛び出して神経を圧迫することを椎間板ヘルニアといいます。10~40歳代の若い世代に多く見られ、頸から腰までどの場所にも発症する可能性がありますが、ほとんどは腰の部分で起こります。原因としては、遺伝との関係、椎間板の老化、さらに喫煙とも関係すると考えられています。背骨に負担をかける動作をすることで腰椎椎間板ヘルニアを発症することもあり、重いものを持ち上げる、引っ張る、体をひねる、長時間の座り仕事などがあげられます。
腰椎椎間板ヘルニアの症状は、程度によってさまざまですが、腰痛から始まり、お尻や足にしびれが起きます。おじぎをしたり、いすに座るなど、前かがみの姿勢をとると症状が強まります。
腰椎椎間板ヘルニアの主な症状として、腰を曲げると太股やふくらはぎにしびれるような痛みが走る「坐骨神経痛」が起き、腰が前に曲がりにくくなったり、腰や背中がひどく凝ることがあります。
また、腰椎椎間板ヘルニアには、腰部脊柱管狭さく症と同じく、馬尾型と神経根型の2タイプがあります。下記に当てはまる項目が1つでもあれば、馬尾型という進行しやすいヘルニアである可能性が高くなります。1つも当てはまらない場合は、神経根型という進行しにくいヘルニアです。馬尾型の場合は、放置していると尿漏れや頻尿などの排尿障害が起こります。進行すると歩行が困難になり、将来寝たきりになる可能性もあります。脚のしびれた痛みが続く場合は、医療機関に相談するようにしましょう。
● 馬尾型の症状
痛みがひどい場合は、まず安静にしましょう。初期の場合は、ヘルニアの部分を機械的に引っ張る“けん引”や低周波治療などを行い、同時に鎮痛薬や湿布を使用します。ほとんどの人はこれらの治療を行うことでよくなるといわれています。馬尾型の症状があり、2~3か月ほど治療しても改善されない場合は、手術が検討される場合があります。改善されない場合は、自分で判断せずに医療機関に相談しましょう。
椎間板は縦方向の力には強いですが、曲げやねじりには比較的弱い性質を持っています。予防法としては、物を持ち上げるときは、中腰ではなく、ひざを使って持ち上げるようにしましょう。また、背筋や腹筋は、背骨への負担を少なくする働きがあります。適度にスポーツを行うなど、腹筋と背筋の筋力維持・向上を心がけましょう。さらに、カロリーオーバーにならないよう、食生活にも気をつけることが大切です。