2018年12月7日
子宮脱は、骨盤の中にある子宮を支える筋肉が緩んでしまい、子宮の一部または全部が腟から脱出してしまう病気です。子宮の前方には膀胱、後方には直腸があるため膀胱、直腸などが一緒に下がってくることが多く、骨盤内臓脱または骨盤臓器脱、性器脱とよばれることもあります。また、子宮はほとんど下降していないのに、膀胱や直腸だけが腟壁と一緒に下降することがあり、膀胱が脱出する場合を膀胱瘤、直腸が脱出する場合を直腸瘤とよびます。
程度の軽い子宮下垂(子宮は下降しているが、まだ脱出していない状態)の場合は、無症状で、婦人科検診などで指摘されて気づくことがほとんどです。ひどくなると、歩行時や重い物を持った時、入浴時など、お腹に力がかかった時に、何かが出てくるような感覚がしますが、力が抜けると感じなくなります。子宮が腟から出かけている状態になると、ピンポン球サイズの丸くて固い物が外陰部に触れることがあります。
これらが進行し子宮脱になると、引っ張られた感じや痛み、股の間に物がはさまった感覚になります。腟から脱出した部分が、下着などでこすれると、おりものが増えたり、出血、化膿することがあります。さらに、膀胱や直腸が脱出することで、尿や便が出にくくなることがあります。
骨盤の中には子宮、膀胱、直腸などの臓器を支えている筋肉(骨盤底筋)があり、腹圧によって骨盤外に臓器が出ないよう支えています。子宮脱は、分娩や外科手術などによってダメージを受けた骨盤底筋が加齢に伴い弱くなり、臓器を支えきれなくなることで起こります。自然分娩の回数が多いほど起こりやすく、発症する患者の多くは分娩経験者といわれています。分娩後すぐに発症することは少なく、閉経を迎える頃から60歳代にかけて起こることがほとんどです。
慢性的な咳や便秘、仕事などで日頃から重い荷物を持っている、肥満体系の方なども腹圧がかかりやすいため、子宮脱になりやすいといわれています。
■軽度の場合
■子宮などが一部または完全に脱出している場合
軽度の場合でもペッサリー療法や手術を行ことがあります。ご自身にあった治療法を専門医と相談してください。