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今月の健康コラム

生活習慣病のリスクが上がる「サルコペニア肥満」

2019年2月8日

近年、「筋肉量の減少」を意味するサルコペニアと、糖尿病、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病を悪化させる肥満(体脂肪の増加)が重なる「サルコペニア肥満」が注目されています。

サルコペニア肥満とは

 加齢に伴う筋肉量の低下を「サルコ(=筋)」「ペニア(=減少)」といいます。「立つ」「歩く」といった機能が低下する「ロコモティブシンドローム」、「サルコペニア」、「フレイル」は超高齢化社会の日本で要介護状態に至る重要な要因と考えられています。特に運動をしていなければ、20歳代をピークに30歳代から筋肉量は少しずつ低下していきます。筋肉はエネルギーを多く使いますが、筋肉量の低下で脂肪に置き代わってしまいます。これを「サルコペニア肥満」といいます。サルコペニア肥満は、通常の肥満よりも生活習慣病などにかかりやすく、運動能力や歩行能力を低下させるため、寝たきりになるケースや死亡リスクが高いといわれています。

 また、年齢を重ねても体重や体型が変わらず、肥満度を示す体格指数(BMI)が標準でも、筋肉だった部分が脂肪に置き換わっている「隠れサルコペニア肥満」も問題になっています。生活習慣病の発見が遅れがちになり、気づかないうちに病状が進行することもあります

 高齢者だけの問題ではありません。若者でも食事制限ダイエットや運動不足によって体に必要な栄養素が減り、筋肉が衰え、脂肪が燃焼されずに体内に残ってしまいます。こうして、知らずしらずのうちに高血圧や糖尿病などのリスクを高めてしまう可能性があります。

サルコペニア肥満の診断

 サルコペニア肥満の診断は、まだ新しい概念であり、統一された診断基準はまだありません。サルコペニアと肥満にはそれぞれ基準がありますので、共に基準を満たした場合、そうみなしてよいと思われます。

 サルコペニア肥満のセルフチェックはさまざまな方法がありますが、以下のチェックを行ってみてください。1つでもあてはまる場合は要注意です。

■サルコペニア肥満のセルフチェック

  • 他の人よりも歩くのが遅くなったと感じる。
  • 横断歩道が青信号の内に渡りきれない事がある。
  • ペットボトルや瓶の蓋が開けられない事がある。
  • 靴下を片足立ちで履くことができない。

 セルフチェックで少しでも気になることがあった場合には、医療機関に相談しましょう。

サルコペニア肥満の予防法

 サルコペニア肥満の予防には、筋肉量を増やして脂肪を燃焼させることが重要です。これによって基礎代謝の向上も図ることができ、サルコペニア肥満の解消にも役立ちます。適度な運動や適切な食事を摂ることを意識しましょう。

 「筋肉トレーニング」は筋肉を収縮させて筋肉量を増やします。全身の筋肉の7割が存在する下半身の筋肉を刺激するのが効果的です。激しく動かすよりもゆっくりとスクワットを行った方が、より効果的と言われています。体調に合わせて無理なく続けていけるようにしましょう。加えて屋外のウォーキングなど全体運動も行うと脂肪燃焼を促して、効果的です。

 食事は、カロリーを控えつつ、野菜とともに肉、魚や乳製品などをバランスよく食べることで、筋肉を作り出す良質なたんぱく質を摂取することができます。特に、日本の70歳以上の高齢者はたんぱく質の摂取が急激に低下することが知られています。肉や魚は筋肉をつくるために欠かせない食材です。意識して摂るように心がけましょう。

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