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今月の健康コラム

手足がふるえる病気「パーキンソン病」

2019年4月5日

50代以降に発症することが多いパーキンソン病。体の動きが悪くなってきたり、手足がふるえるようになったりするのは、年齢のせいではなくパーキンソン病の症状なのかもしれません。パーキンソン病は早期診断と治療が重要です。病気について正しく知り、症状が疑われたら医療機関を受診しましょう。

パーキンソン病とは

 パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質のドパミンが不足することで、脳からの指令が神経細胞に上手く伝わらなくなり、体の動きに支障がでる病気です。50代以降に現れることが多く、年齢とともに増加していきます。ドパミンは、脳の中脳の黒質という部分の神経細胞で作られていますが、パーキンソン病になると黒質の細胞が減り、ドパミンの作られる量が減少します。パーキンソン病の多くは遺伝などではない孤発性パーキンソン病ですが、一部には遺伝による家族性パーキンソン病があります。そのため、発症には環境や遺伝など多数の要因が関係すると考えられています。

 パーキンソン病の症状には、体の動きに関連する運動症状と関連しない非運動症状とがあります。運動症状で代表的なのは「手足が震える(振戦)」「筋肉がこわばる(筋強剛)」「動きが鈍く遅くなる(無動・寡動)」「体のバランスがとりにくくなる(姿勢反射障害)」の4つです。また、このほかにも、「すり足になる」「歩く時にほとんど手を振らない」「一歩目がなかなか踏み出せない」など、歩き方に特徴が現れる場合もあります。非運動症状では、自律神経症状、感覚障害、精神症状、睡眠障害など、さまざまな症状があります。自律神経症状には、血圧低下による立ちくらみや失神を起こす起立性低血圧、便秘などがあげられます。感覚症状としては、においが分かりづらくなる嗅覚障害があります。そのほかにも、不安や抑うつなどの精神症状、日中の眠気やむずむず脚症候群、レム睡眠行動異常などの睡眠障害がみられます。症状の強さや現れ方には個人差があり、必ずしもすべての症状が出現するわけではありません。

パーキンソン病の症状

 パーキンソン病は、特徴的な症状がみられる病気です。以下の症状を確認してみましょう。症状の強さには個人差があるため、必ずすべての症状がみられるわけではありませんが、症状がみられる場合は医療機関を受診してみるとよいでしょう。

■四大運動症状

  • 安静時振戦
    パーキンソン病の最も代表的な症状です。座っているだけのときに、手足が小刻みに震えます。動いたり、何かしようとするときには震えがとまることが多いです。
  • 筋強剛(筋固縮)
    筋肉がこわばって硬くなり、体がスムーズに動かなくなります。他動的に手足の関節を曲げ伸ばしすると「歯車現象」というカクカクした抵抗が感じられます。
  • 無動・寡動
    動きが遅くなったり、小さくなったりします。歩くスピードがおそくなり歩いているときに手を振らなくなります。話し声が小さくなり、瞬きが少なくなり表情が乏しくなったりします。
  • 姿勢反射障害
    病初期にはあまりみられませんが、病気が進行するとみられる症状です。立っているときに軽く押されると、バランスを崩してしまいます。バランスを崩すと元にもどせず、転んでしまう場合があります。

■そのほかの運動症状

  • 姿勢異常
    腰が曲がる、ななめに傾いている、首が下がるなどの症状が現れます。
  • すくみ現象
    動作を開始する際に動作が止まってしまう現象で、歩き始めの第一歩目がでにくい、狭い通路で足を前に進められなくなるなどの症状があります。

■非運動症状

  • 便秘・排尿障害
    便秘は初期から現れ、ほとんどの患者にみられます。排尿障害には、夜間に何度もトイレに起きてしまったり、尿が漏れてしまうなどの症状があります。
  • 起立性低血圧
    立ち上がったときに「立ちくらみ」がしたり、一瞬気を失い倒れてしまう場合もあります。
  • うつ状態
    不安感が強くなり、なんとなくやる気がしなくなります。関心や意欲の低下もみられます。
  • 幻覚・認知機能障害
    ないものが見える幻視症状や、思考が緩慢になるなどの症状があります。
  • 感覚障害
    においや味がわかりにくい、肩や背中の痛みやしびれなどの異常感覚が現れることがあります。
  • 睡眠障害
    寝ている間に壁を蹴飛ばしてしまう、鮮明な夢をみる、入眠時に脚がむずむずする、夜中に何度も目が覚める、日中の眠気などの症状です。

パーキンソン病の治療

 パーキンソン病の四大症状のうち、無動・寡動に筋強剛か振戦のどちらかが伴えば、パーキンソン症候群と判断します。パーキンソン症候群とは、パーキンソン病の症状がみられる場合を指し、パーキンソン病以外の病気によるものも含まれます。これらの病気は原因や治療法が異なるため、病気の経過、症状、検査結果などをもとにきちんと区別することが大切です。そのため、パーキンソン病の診断では、問診で症状や経過を確かめて、画像診断などの検査結果を参考にしながら、診断基準にそって総合的に診断します。パーキンソン病と診断されたら、多くの場合薬による治療が行われます。治療薬は症状にあわせて変更します。パーキンソン病の薬を飲み始めると、副作用が現れる場合があります。副作用が現れた場合は、かかりつけ医に相談してください。内服薬で症状のコントロールが困難な場合には、脳深部刺激療法や腸内持続投与療法などの手術を行うこともあります。

 パーキンソン病は、厚生労働省が定める「難病治療研究対策事業」の対象疾患で、指定難病医療費助成制度を利用できます(ホーン&ヤール重症度分類III度以上かつ生活機能障害度2度以上と判定された方が対象です)。身体障害者手帳による助成や障害者総合支援法による支援を受けられる場合もありますので、かかりつけ医に相談してください。最近ではパーキンソン病の治療は大きく進歩し、長く普通の生活が出来るようになっています。補助をうけることで、安心して長期的な治療をうけることができるので、症状が疑われた場合は、早期に医療機関を受診するようにしましょう。

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