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今月の健康コラム

むくみに要注意「ネフローゼ症候群」

2020年7月6日

ネフローゼ症候群は、腎臓にある糸球体の異常などによって、本来ろ過されないはずのたんぱくが尿に漏れ出してしまう病気です。腎臓の機能低下や血栓症などの合併症が起こる危険性もあるため、早めに医療機関を受診することが大切です。

ネフローゼ症候群の症状

 腎臓は血液をろ過し、老廃物や塩分を尿として排出します。通常、たんぱくはろ過されないため、尿に含まれるのはわずかです。しかしネフローゼ症候群になると、尿にたんぱくが大量に漏れ出し、血液中のたんぱくが減少してしまいます。たんぱくの50%をしめるアルブミンは、水を血管内に保持する働きがあり、皮膚、肺、腸など多くの組織から余分な水が血流に乗って腎臓まで運ばれ、尿として排出されます。血液中のアルブミンが減少すると、組織に余分な水分が残ってしまい、「むくみ」が生じます。

 発症初期にはひざから足首にかけてむくみ、この部分の骨(けい骨)の前面を指で10秒程度強く押さえると、へこみが残ります。また、尿に大量のアルブミンが含まれることで、尿に泡立ちがみられ、この症状で発症に気付くこともあります。

 進行すると全身のむくみとなり、腸のむくみによる嘔吐や下痢を引き起こしたり、肺に水が溜まることによる呼吸困難の症状も出てきます。また、水が排出されないことによる尿量の減少や急激な体重増加がみられます。

ネフローゼ症候群の種類

 ネフローゼ症候群は、発症原因によって「一次性ネフローゼ症候群」と「二次性ネフローゼ症候群」に分類されます。

 「一次性ネフローゼ症候群」は、ほかに原因疾患がなく腎臓の糸球体に異常が発生したものを指します。一次性ネフローゼ症候群は、糸球体にはほとんど変化が見られない微小変化型、糸球体基底膜に肥厚がみられる膜性腎症、糸球体に部分的な硬化像がみられる巣状分節性糸球体硬化症など、顕微鏡所見により数種類の病型に分類されます。小児に発症する一次性ネフローゼ症候群は、微小変化型であることがほとんどです。一次性ネフローゼ症候群は難病に指定されています。

 「二次性ネフローゼ症候群」は、一次性ネフローゼ症候群とは異なり、何らかの原因疾患によってネフローゼ症候群になってしまったものを指します。主な原因疾患として挙げられるのが、糖尿病やループス腎炎などです。薬剤によって引き起こされたネフローゼ症候群も、二次性ネフローゼ症候群に分類されます。

ネフローゼ症候群の治療

 ネフローゼ症候群は、病型により治療が多少異なります。

 一次性ネフローゼ症候群の中でも罹患率の高い微小変化型の場合は、主に副腎皮質ステロイドで治療します。同じ一次性ネフローゼ症候群でも、巣状分節性糸球体硬化症型や膜性腎症型で、ステロイド薬の効果がみられない場合には、免疫抑制剤を使用することもあります。また、むくみを改善するために、塩分の制限や利尿剤の投与といった治療を行いますが、むくみの具合によって、水分の制限も必要になることがあります。二次性ネフローゼ症候群では、原因疾患の治療が優先されます。

 発症が疑われる場合には、早めに医療機関を受診し、腎臓の組織検査による病型診断の上、それぞれに適した治療を行っていくことが大切です。

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