2020年12月4日
突発性難聴は、突然耳が聞こえづらくなる原因不明の病気です。めまいや耳鳴りを伴うこともあります。男女関係なく50~60代に発症しやすく、国内では年間で約2万人以上がかかっています。個人差はありますが、治療が遅れると完治しない可能性があるため、発症したらすぐにかかりつけ医または耳鼻科を受診しましょう。
突発性難聴は、予兆なく耳の聞こえが悪くなる病気です。朝起きたら耳がよく聞こえなかった、電話の音が聞こえなくなったなど、突然症状が表れることがほとんどですが、数日かけて悪化することもあります。原因ははっきりとはわかっていませんが、音を感知して脳に伝える役割を担っている内耳のウイルス感染や血流循環障害ではないかといわれています。そのほか、ストレスや過労、睡眠不足、糖尿病などが関係していると考えられています。
代表的な症状は、病名の通り難聴です。難聴の度合い、聞こえにくさは人によって異なります。ほとんどの音が聞こえない場合もあれば、高音など一部の音が聞こえない場合もあります。多くの場合、片方の耳にのみ症状が表れます(まれに両方のこともあります)。難聴と前後して、耳鳴りやめまい、吐き気などが起こることもあります。これらの症状は一度だけで、繰り返されることはありません。
また、突発性難聴は子どもがかかることもあります。発症頻度は大人よりも少ないですが、難聴の度合いが大人に比べ高度な場合が多く、めまいなども合併しやすいので注意が必要です。
難聴は突発性難聴以外の病気にもみられます。脳腫瘍が原因の難聴、低音だけ難聴になる急性低音障害型感音難聴、精神的ストレスから起こる心因性難聴や詐聴(さちょう)などがあります。
このため、まずは難聴の原因となる病気を突き止める検査を行う必要がありますが、突発性難聴は早期治療が重要なため、治療と検査は同時に進めていきます。
治療は、複数の薬剤や治療法を組み合わせて行います。中心となるのは薬物療法で、ステロイド薬や循環改善薬、代謝改善薬を使用します。近年は新薬も開発されています。そのほか、注射針で耳の内部に直接薬剤を注入する鼓室内ステロイド注入療法や、耳や脳への酸素供給量を増加させて改善を図る高圧酸素療法などもあります。ストレスや睡眠不足、不規則な生活習慣を送っている場合は、規則的な生活を送ることも大切です。
治療の効果は人によって異なりますが、適切に治療を行った場合でも完治または一部治癒するのはそれぞれ40%、残りの20%は治療をしても改善がみられないとされています。治療効果が見られない原因は、高年齢での発症のほか、受診の遅れ、高血圧や糖尿病などの生活習慣病との合併症などです。突発性難聴の治療において最も重要なのは、早期の治療開始です。発症後1~2カ月すると聴力が固定されて戻らなくなってしまいます。命にかかわらないからといって放置すると、難聴のまま回復が見込めなくなるのです。発症した場合は速やかに医療機関を受診しましょう。