2021年1月7日
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、神経が圧迫され、主に歩いている時や立っている時、足やおしりに痛みやしびれなどが生じる病気です。中高年に発症が多くみられます。生命にかかわる病気ではありませんが、症状が進行すると歩行困難になるなど、日常生活に支障をきたす恐れがあるため、気になる症状があればかかりつけ医または整形外科を受診しましょう。
脊柱管は、背骨や椎間板、関節などで囲まれた、脊髄の通り道です。主に加齢によって、椎間板に膨らみが生じたり、骨が変形したりすると、脊柱管を通る神経や血管を圧迫することがあります。腰部脊柱管狭窄症は、この圧迫によって、足やおしりに痛みやしびれなどが生じる病気です。圧迫される神経によって3つに分けられます。
腰部脊柱管狭窄症の症状には、足の痛みやしびれ、感覚障害などがあります。
■間欠性跛行(かんけつせいはこう)
腰部脊柱管狭窄症の主な症状のひとつです。歩いている時や立っている時におしりから足にかけて痛みやしびれが生じます。このため、長時間連続して歩くことが難しくなります。しばらく休んだり、前かがみでしゃがんだりすると症状が和らぐのが特徴です。自転車をこぐ際には痛みは生じません。
※間欠性跛行は、閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患)という病気でも起きるので注意が必要です。
■神経障害・しびれ
病状により、安静にしていても足に痛みやしびれが生じることがあります。
■運動障害(麻痺)
神経の障害が進行すると、筋力が低下することがあります。
■膀胱直腸障害
症状が悪化すると、会陰部の感覚障害や頻尿、残尿感がみられる場合があります。
足の痛みやしびれを、加齢による症状だからと放置せず、違和感を覚えたらかかりつけ医または整形外科を受診しましょう。
初期の治療では保存療法として、非ステロイド性消炎鎮痛薬や筋弛緩薬などを用いた薬物療法や、局所麻酔薬を注入し神経の興奮を抑える硬膜外ブロック、コルセットを用いて痛みやしびれを改善する装具療法、そのほか運動療法などを、症状によって使い分けます。症状が軽度または中等度の患者のうち、約50~60%は自然経過でも予後が良好とされています。
保存療法で改善がみられない場合には、手術療法を行います。手術療法には、神経を圧迫している椎間板などを切除する除圧術と、脊椎を固定し安定化させる脊椎固定術があります。最近では、内視鏡を使用した低侵襲脊椎手術も行われています。
また、加齢による体の変化を防ぐことはできませんが、日頃から適度な運動や正しい姿勢を心がけ、腰に負担をかけないことが予防につながります。