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今月の健康コラム

目や口の乾燥がひどくて日常生活にも支障が?!「シェーグレン症候群」

2021年3月8日

シェーグレン症候群は、涙腺や唾液腺などに炎症が起き、目や口が乾燥する自己免疫疾患です。女性の発症率がとても高く、ピークは40~50代です。長期間続く場合は放置せずに、膠原病内科や耳鼻咽喉科、眼科を受診してみましょう。

シェーグレン症候群とは

 シェーグレン症候群は、膠原病(※)のひとつで、長期にわたって涙腺や唾液腺といった外分泌腺に炎症が起こる病気です。免疫機能の異常によって自身の細胞や組織を攻撃する自己免疫疾患の一つと考えられています。他の膠原病との合併がみられない一次性と、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病に合併する二次性があります。一次性は、涙腺と唾液腺に限定される腺型と、肺や腎臓などにも及ぶ腺外型があります。

(※)膠原病(こうげんびょう)は、全身のさまざまな臓器に慢性的な炎症を起こす病気の総称です。全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、皮膚筋炎、結節性多発動脈炎、関節リウマチ、混合性結合組織病などがあります。

シェーグレン症候群の症状

 シェーグレン症候群の主な症状は目や口の乾燥です。涙が出なくなり目が乾燥(ドライアイ)すると、異物感や疲れ、目やになどの症状が表れ、悪化すると乾燥性角結膜炎や表層性角膜びらんなどを引き起こすことがあります。唾液が出にくくなることによって口が乾燥(ドライマウス)すると、口内炎や虫歯になりやすくなったり、夜間に水を飲むために起きてしまうなどの症状が表れ、場合によっては味覚障害が起きることもあります。そのほかにも鼻が乾いて出血したりかさぶたができるほか、腺外型の場合には倦怠感や関節痛といった全身症状や、ほかの臓器に炎症が起こることがあります。

シェーグレン症候群の治療法

 現在シェーグレン症候群の治療法は確立されていないため、主に目や口の乾燥を緩和するための対症療法が行われます。

 目の乾燥に対する治療では、涙の分泌を促進させたり、涙を補充したりするために、点眼薬を用います。防腐剤が含まれている点眼薬を使用する場合には、角膜障害を発症する可能性があるため、防腐剤を含まない点眼薬を組み合わせて使用するなどの注意が必要です。そのほか涙の蒸発を防ぐためのドライアイ用の眼鏡の着用、涙点プラグと呼ばれる栓や縫合手術で涙の排出口である涙点をふさぐ治療法もあります。

 口の乾燥に対する治療では、唾液の分泌を促進するために、ピロカルピン塩酸塩、セビメリル塩酸塩などの薬を服用します。これは人により効き目や副作用が大きく異なるため、症状を見ながら量を調節します。また、唾液の補充のために噴霧式の人口唾液を使用することもあります。

 目や口の乾燥が悪化すると日常生活に支障をきたす恐れがあります。対症療法で症状を抑えつつ、バランスの取れた食事や適度な運動、規則正しい生活を心がけましょう。不安なことがあれば一人で思い悩まずに、医師に相談して上手に病気と付き合っていくことが大切です。

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