2021年8月17日
食生活の欧米化や運動不足などにより、小児肥満のリスクが高まっています。放置していると成人の肥満に移行し、生活習慣病を発症する可能性があります。肥満を解消させるために、大人が積極的に適切な食事や運動の習慣化を促しましょう。
小児肥満はさまざまな生活習慣によって、肥満度が高くなった状態を指します。肥満度の算出方法は以下の通りです。
肥満度(%)=100×(現在の体重-標準体重)/標準体重
日本肥満学会が発行している「小児肥満症診療ガイドライン2017」によれば、小児における肥満の定義は「肥満度が+20%以上、かつ体脂肪率が優位に増加した状態(優位な体脂肪率増加とは、男児:年齢を問わず25%以上、女児:11歳未満は30%以上、11歳以上は35%以上)」です。
小児肥満は、1970年代から増加し、2000年ごろにピークを迎えた後は減少。近年はあまり変化していません。
小児肥満になると、高血圧や睡眠時無呼吸などを併発することがあります。また、心の不調も引き起こし、自尊心の低下や不登校につながる可能性があります。
小児肥満を改善するためには、規則正しい生活、主に食事面と運動面に良い習慣づくりを行う必要があります。特に2~5歳の生活習慣は、成人期の生活習慣に密接につながっています。思春期を迎えてから改善することは難しいとされているため、早いうちから対策しましょう。
まず食事面では、1日3食のバランスのよい食事をとるようにします。成長期であるため、摂取カロリーを制限する必要はありませんが、不足しがちな魚介類や豆類、野菜類を意識して取り入れるようにしましょう。間食は1日1回とし、次の食事に響かない程度にとどめます。早食い、複数回の間食も、肥満の原因となります。
運動面では、マラソンなどの負担の大きい運動は行わず、体を使った遊びを通して運動の楽しさを感じてもらうことを目的とします。他の子どもと比較することは避け、タイミングをみて適度に褒めることが、やる気の継続につながります。
そのほか、小児期において、睡眠時間が短いほど肥満になりやすいことが分かっています。朝食の欠食や夜食の摂取につながりやすいほか、味覚が変化してより甘味や塩分の強い食べ物を好むようになると考えられています。就寝時間やスマートフォンなどを使用する時間を決めたり、ベッドルームの環境を整えたりして、睡眠の質を高めることが大切です。
これらの方法でも改善がみられない場合や、肥満度が高度の場合は、かかりつけ医に相談しましょう。