2022年12月9日
尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)は皮膚に赤みや厚みが出て次第にその表面が銀白色の細かいかさぶたで覆われ、やがてそれがフケのようにボロボロとはがれる皮膚の病気です。人にうつることはありません。青壮年期に発症することが多く、繰り返すことが多いですが、適切な治療とケアを続けることで、症状を改善し長期間良い状態を保つことができます。思いあたる症状があれば医療機関を受診しましょう。
乾癬とは、免疫機能の異常などから皮膚表面の細胞が過剰に増殖し、全身に特徴的な皮疹が生じる病気です。症状によっていくつかの種類に分けられますが、尋常性乾癬は乾癬患者の約90%を占め、症状は頭部や頭皮、爪を含む全身に出現します。30~40代の男性が発症しやすいとされていますが、年齢や性別を問わず発症のリスクがあります。発症の原因は、はっきりとは分かっていませんが、遺伝的要因や免疫機能の異常などが示唆されています。また、糖尿病や高血圧、脂質異常などの生活習慣病との関連も言われています。
細菌やウイルスによって起きる病気ではないので、ほかの人に感染する心配はありません。
尋常性乾癬では、表面に銀白色のかさぶたを伴った赤い皮疹が生じます。かさぶたは次第にボロボロとはがれ落ちます。症状は全身のうち、特に肘、膝、腰回りなど摩擦を受けやすい部位に多く見られます。頭部や頭皮、爪にも症状が出ることがあり、かゆみを伴うこともあります。空気の乾燥する冬場に悪化する傾向があります。
乾癬は良くなったり悪くなったりを繰り返すため、その時々の症状によって異なる治療を行います。昨今は新しい治療法も増え、治療目的、治療効果などを考慮して単独、あるいは組み合わせて行います。糖尿病や高血圧、脂質異常などの生活習慣病との関連が言われているため、食生活の改善、喫煙、飲酒を控え、日ごろからの健康的な生活習慣の心がけも必要です。
①塗り薬 | 塗り薬は乾癬治療の基本になります。ステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬、ステロイド外用薬とビタミンD3の配合剤があります。 |
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②飲み薬 | PDE4阻害剤、レチノイド製剤、免疫抑制剤の3種があります。それぞれ特徴がありますので症状や全身状態などにより選択されます。 |
③光線療法 | 症状のある部位や全身に紫外線を照射する治療法です。 PUVA療法、ナローバンドUVB療法、ターゲット型光線療法があります。 |
④注射薬 | 生物学的製剤です。飲み薬や光線療法で十分な効果が得られない患者さんに使用されます。 |
予防が難しい病気のため、早期発見に努めることが重要です。発症が疑われる場合には医療機関を受診しましょう。