2023年3月13日
閉塞性動脈硬化症は、生活習慣の乱れなどから生じた動脈硬化により、下肢に痛みやしびれが生じる病気です。治療を怠ると、いずれ足に傷ができたり腐ったりする可能性があります。発症した場合には早期に治療を行うことが大切ですが、まずは生活習慣を見直して予防に努めましょう。
心臓から出た血液は動脈を通って全身に流れ、酸素や栄養素など機能維持に必要な物質を運搬しています。しかし、生活習慣の乱れや肥満などが原因で、血液中の悪玉コレステロールが増えると、血管の内側にコブができて血液が流れにくくなる動脈硬化を起こします。
動脈硬化が進んで血流が低下すると、さまざまな臓器が酸素不足に陥ります。この状態を心臓では心筋梗塞、頭では脳梗塞といい、下肢に生じたものを閉塞性動脈硬化症といいます。
また、糖尿病の微小血管障害から特に膝から下の動脈狭窄が起こることも危険因子です。足に傷を負うと修復が不十分となりそこからバイ菌が入ったりしますし、足に傷が無くても血流が不十分となり足に壊死を引き起こしたりします。足切断の大きな原因です。
症状は4段階で進行していきます。
■I度
ほとんど症状はありませんが、人によっては冷たさやしびれを感じるようになります。
■Ⅱ度
一定の距離を歩くと、足裏やふくらはぎが痛くなって歩行が困難になり、しばらく休むと回復するという状態を繰り返すようになります。これを間歇性跛行といいます。
■Ⅲ度
さらに動脈硬化が進み、安静にしていても痛みが出ている状態です。内科治療で効果がない場合は、外科的手術を検討します。
■Ⅳ度
重症化すると、足先に傷ができたり、腐ったりすることがあり、最悪の場合は足を切断する必要があります。
発症を防ぐためには、生活習慣を見直し、動脈硬化の危険因子を取り除いていく必要があります。具体的には、喫煙、バランスの悪い食事、運動不足などで、これらによってすでに高血圧や糖尿病などの生活習慣病を発症している場合にも注意が必要です。
もし発症してしまった場合には、心血管疾患を併発しないためにも、Ⅰ度~Ⅱ度の早期のうちに治療を行いましょう。