2023年2月10日
過換気症候群は、極度の不安や緊張から息を何度も吸ったり吐いたりすることで過呼吸状態になり、体にさまざまな症状があらわれる疾患です。とくに若い女性に多くみられ、あがり症の人や感受性の強い人が発症しやすいとされています。
過換気症候群は、速く激しい呼吸によって、血液中の二酸化炭素が必要以上に体外へ放出されることで、血液がアルカリ性に偏った状態です。これにより血管が収縮し、手足のしびれや筋肉の痙攣などの症状を起こします。
過換気症候群を発症する人は、日ごろから感情が不安定になりやすい傾向があり、パニック障害や不安神経症などの精神疾患を患っている場合も少なくありません。
主な症状は、呼吸困難に伴う手足の痺れ、筋肉の痙攣です。そのほか、頭痛やめまい、動悸、胸部圧迫感、吐き気などの症状もみられます。これらの症状が生じることで患者の不安が増幅し、呼吸がさらに激しくなるという悪循環を起こすのも特徴です。重症化すれば、失神する可能性があります。
過換気症候群では、息を深く吸ってゆっくりと吐く腹式呼吸で気持ちをリラックスさせることが大切です。しかしパニック状態に陥り、意識的な呼吸のコントロールが難しいときには、周囲の人の助けが必要になります。介助する人は、体をさすったり、話しかけるなどの方法で患者を落ち着かせ、腹式呼吸を促しましょう。
症状は次第におさまり、一般的には数時間以内で消失するといわれていますが、改善がみられない場合には抗不安薬の内服や、点滴を行うこともあります。またかつて主流だった、口を紙袋で覆って呼吸する方法は、現在は推奨されていません。
過換気症候群は、予防が難しい疾患です。過呼吸状態になった場合の対処法をあらかじめ把握するとともに、日常生活において、大きな不安や過度な緊張を感じる状況は極力避けるように心がけましょう。