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今月の健康コラム

事故後に不調が続いたらすぐ病院へ「脳脊髄液減少症」

2023年4月10日

脳脊髄液減少症は、脳脊髄液が漏れ出ることにより、頭痛やめまい、耳鳴り、全身倦怠感などのさまざまな症状を複合的に引き起こす病気です。交通事故やスポーツ事故などによる、全身への強い衝撃が原因で発症しますが、原因が特定できないこともあります。発症が疑われる場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。

脳脊髄液減少症とは

 脳と脊髄は硬膜と呼ばれる袋に覆われており、硬膜の中は脳脊髄液という無色透明の液体で満たされています。脳脊髄液は脳や脊髄を保護するクッションの働きを担い、通常その量と圧はほぼ一定です。しかし交通事故やスポーツ事故に遭った際、全身への強い衝撃で脳脊髄液が硬膜の外に漏れ出ることがあります。これにより硬膜内の圧が低くなり、全身にさまざまな症状が現れた状態を脳脊髄液減少症といいます。外傷などの明らかな原因がなくても発症することもあります。

脳脊髄液減少症の症状

 事故が原因の場合は、事故から30分~数週間後に症状が現れることが多いとされています。ほとんどの場合で頭痛が生じるほか、めまい、吐き気、視力低下など症状はさまざまです。

 また症状は外見では分かりにくいため、病気であると理解されず、周囲から誤解を受けるなどの負担が生じることも少なくありません。

脳脊髄液減少症の治療法

 症状を自覚してから1カ月以内の早期段階では、ベッドで安静に過ごし、水分補給や点滴を行うことで自然治癒することがあります。しかし、一定期間が経過しても症状の改善が見られない場合や、症状自覚後1カ月以上が経過している場合には、脳脊髄液が漏れ続けている可能性が高いです。この場合は、ブラッドパッチ療法という治療を行います。硬膜の外側に血液を注入し、糊のように固めることで漏出部位を塞ぐもので、1回の血液注入で完治することもありますが、多くは複数回の注入が必要です。

 脳脊髄液減少症は、症状を自覚してから病気が発見されるまでの時間がとても重要です。交通事故やスポーツ事故の後、違和感を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。

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