2023年6月9日
ヒトメタニューモウイルス感染症は、風邪に似たような症状が現れる呼吸器感染症です。乳幼児期に発症しやすく、毎年3~6月の流行期になると、保育園や幼稚園などでの集団感染が多くみられます。地域の感染状況に注意し、発症が疑われる場合にはすぐに医療機関を受診しましょう。
ヒトメタニューモウイルス感染症は、5歳までに約50%、10歳までにほぼすべての子どもが発症するとされています。また発症は繰り返され、大人の風邪症状の2~4%にあたるとも考えられています。感染力が非常に強く、くしゃみや咳で飛び散ったウイルスを吸い込んだり、おもちゃやタオルなどウイルスが付着したものに触れることで感染が広がるのが特徴です。
ヒトメタニューモウイルス感染症を発症すると、4~6日程度の潜伏期間を経て1週間ほど症状が現れます。主な症状は咳や鼻水、発熱などで、息苦しさを感じるといった症状もみられます。とくに乳児の場合は呼吸状態が悪化しやすく、ゼーゼーとした呼吸や呼吸困難を引き起こすこともあります。似たような症状が現れる病気にヒトメタニューモウイルス感染症と同様、子どもが発症する呼吸器感染症のRSウイルス感染症があります。
また乳幼児や高齢者は症状が重症化する可能性が高く、気管支炎や肺炎を引き起こすことも少なくありません。
発症した際には水分を十分に摂り、安静にして療養することが大切です。症状が強い場合には咳止めや解熱剤、痰を吐き出しやすくする去痰薬などを使用することもあります。通常、一週間程度で回復しますが、高熱で飲食が困難になった場合や呼吸がしづらい場合には入院が必要になります。
家族内でも感染することがあります。予防のために、日ごろから手洗い・うがいを徹底し、周囲の感染状況を把握しておきましょう。