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今月の健康コラム

締め付けるような胸の痛み「大動脈弁狭窄症」

2023年8月16日

大動脈弁狭窄症は、心臓にある4つの弁のうちのひとつである大動脈弁が開きにくくなる病気です。心臓に負担が生じて、痛みなどが現れます。進行すると心不全の発症につながり、命に関わる恐れがあります。

大動脈弁狭窄症とは

 私たちの心臓には、右心房、左心房、右心室、左心室と呼ばれる4つの部屋があり、それぞれ全身または肺に続く血管とつながっています。弁は各部屋の出口に位置し、開閉しながら、血液を全身に送り出したり逆流を防いだりするドアのような役割を担っています。大動脈弁狭窄症は左心室のドアである大動脈弁が開きにくくなる病気です。狭い出口から無理やり血液を押し出すことで、左心室に負荷がかかり、さまざまな症状が現れます。

 加齢に伴う硬化やリウマチ熱などにより発症する後天的なものと、生まれつき大動脈弁の数が少ないことで発症する先天的なものがあります。

大動脈弁狭窄症の症状

 病気が進行するまで自覚症状がほとんど現れないのが特徴です。そのため、異なる病気の検査の際に聴診や心エコーで、偶然発見されることが少なくありません。

 進行すると、締め付けられるような胸の痛みや圧迫感、運動時の失神、呼吸困難などの心不全症状がみられます。また症状が出てからは進行が早く、治療をしなければ数年以内に死に至ることが多いといわれています。

大動脈弁狭窄症の治療法

 自覚症状が無い段階で発症が確認できた場合は、病状に応じて内服で治療を行うことがあります。ただし薬は心不全症状を出にくくしたり、進行を遅らせたりするものであり、弁そのものの動きを改善するものではありません。

 一方、病気が進行し、すでに失神や心不全などの症状が現れている場合には、すぐに手術を行う必要があります。手術の方法には、胸部を切り開いて硬くなった大動脈弁を摘出し、新しい人工弁を植え込む大動脈弁置換術と、胸部を切り開くことなく細い管を使って、太ももの付け根などの血管から心臓まで人工弁を運ぶ経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)の2種類あります。体への負担が少なく、持病がある方や高齢の方でも行えることから、近年は経カテーテル大動脈弁留置術が増加しています。

 予防のためには、動脈硬化に注意し、正しい生活習慣を心がけることが大切です。自覚症状が無くても定期的に検査を受け、早期発見に努めましょう。

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