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今月の健康コラム

大人が診断されることも「ADHD」

2023年12月11日

ADHD(注意欠陥多動性障害)とは、「不注意」「多動・衝動性」の特徴を持つ、発達障害の一種です。仕事や学業、日常のコミュニケーションに支障をきたすことで、本人の自己肯定感が低下するなど、精神的な症状につながることもあります。12歳までの子どもが診断されることが多いですが、近年は成人にも少なくないとされています。

ADHDとは

 発達障害は子ども特有のものというイメージを持たれがちですが、職場などでの複雑なコミュニケーションで困難が生じることで、大人になってから発覚することも少なくありません。なかでも、「不注意」「多動・衝動性」の特徴を持つADHD(注意欠陥多動性障害)は、成人の約3~4%に疑いがあるといわれています。

 年齢に不釣り合いな言動により、さまざまな場面でのコミュニケーションに支障をきたします。

 社会にうまく馴染めず、周囲からの評価が下がることで自己肯定感が低下し、うつ病や対人恐怖症などの二次障害を発症することもあります。

 発症の原因ははっきりとしていませんが、生まれつきの脳の発達の偏りが関係しているとされています。そのため、しつけや育て方が原因で発症するものではありません。

ADHDの症状

 以下のような症状がみられます。

■「不注意」の例

  • 気が散りやすい
  • 忘れ物や失くし物が多い
  • 物事を計画的に進行できない
  • 整理整頓ができない
  • 話しかけても聞いていない

■「多動性・衝動性」の例

  • 話し出すと止まらなくなる
  • じっとしていられない
  • 質問が終わる前に答える
  • 他人がしていることを遮る
  • 順番を守れない

 症状の現れ方は一人ひとり異なり、1つの特徴だけが目立って現れる場合もあれば、全ての特徴を併せ持つ可能性もあります。

ADHDの治療法

 専門医の指導のもと、「心理社会的療法」と「薬物療法」の2つを適切に組み合わせて行います。

 「心理社会的療法」では、学習環境や生活環境を調整することで、注意力や集中力、コミュニケーション能力の向上をはかります。わかりやすく指示を伝える、感情的に叱らず褒め方を工夫する、気が散らないように環境を整える、学習の課題を小分けにし休憩を挟むなどの方法です。

 「薬物療法」では、脳内の神経伝達物質の働きを調整する薬で、症状の改善をはかります。ただし薬は、症状を一時的に抑制するものであって、根治させるものではありません。また、治療薬によっては、資格を有する登録医のみ処方可能なものもあります。

 治療には、周囲の理解と協力が必要不可欠です。特徴を理解し、適切な対応で本人にとって生きやすい環境を整えることが大切です。

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