2024年7月8日
スマホの使用による視力低下や眼精疲労は近年よく知られていますが、場合によっては「一時的な失明」のような症状を引き起こす可能性があります。明るい環境で、姿勢を正してスマホを使うことが大切です。
暗い部屋でベッドやソファに横たわってスマホを使用すると、枕やクッションに片眼が埋もれ、気づかぬうちにもう片方の眼だけでスマホを見続けてしまうことがあります。そうすると、スマホを見ていた方の眼は光に慣れ、枕やクッションで隠れている方の眼は暗闇に慣れます。その後スマホを手放すと、スマホを見ていた眼は暗闇に慣れるまでに数分の時間がかかり、「一時的な失明」のような状態が生じることがあります。時間の経過とともに見え方は回復しますが、これはスマホの画面を見ていた眼はもう片方の眼よりも光に対する感受性が一時的に弱くなることによるもので、明るい陽射しの中から屋内に入った時に、眼が屋内の暗さに慣れるまでの数分、見えないような感じになるのと同じ理屈です。
そしてスマホが私たちに及ぼす影響は、これ以外にもあることがわかっています。スマホやタブレットが発するブルーライトは、私たちの睡眠覚醒サイクルを狂わせます。ブルーライトは睡眠をつかさどるメラトニンというホルモンの量を減らしてしまい、さらにはレム睡眠に陥るのが遅れて翌朝の目覚めも悪くなってしまうのです。夜間にスマホやタブレット、パソコンを使用する時にはブルーライトカットの眼鏡を使用するのもおすすめです。
また「一時的な失明」は眼動脈に血栓が詰まったり、眼動脈の血流そのものが低下することにより引き起こされる一過性黒内障でも現れる症状です。一過性黒内障は一過性脳虚血発作の一つで、一過性脳虚血発作は脳梗塞の前兆とも言われています。気になる症状がある場合にはかかりつけ医に相談してください。
眼への負担を軽減するためには、適切な状態でスマホを使用することが重要です。適度に明るい環境で、スマホと眼の距離を30~40cmほど離して使用するようにしましょう。また視線を少し落とすように画面を見ると、眼の疲れや乾燥を抑えられます。
ものを見ているときには、ピントを調節する機能を持つ筋肉である毛様体筋が、非常に緊張しています。使用中は、眼を閉じたり、遠くを見たりしてこまめに休憩したりして、毛様体筋をリラックスさせましょう。