2024年8月29日
血栓塞栓症は血の塊である血栓が血管を塞ぎ、血流が遮断されることによって臓器障害を引き起こす病気です。血の塊が動脈にできる動脈血栓症と、静脈にできる静脈血栓症の大きく2つに分けられます。血栓は、長時間手足を動かさなかったり、生活習慣が乱れたりしていることで生じます。
本来血液は全身を循環していますが、何らかの物質が血管を詰まらせることがあります。これを塞栓症といい、なかでも血液が固まった「血栓」によるものを血栓塞栓症といいます。血栓が詰まる血管によって、動脈血栓症と静脈血栓症の2種類に分けられます。
動脈血栓症では、心臓に栄養を送る冠動脈や脳に栄養を送る血管が詰まり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。高血圧や糖尿病などの生活習慣病で血液中に脂質や糖が多く含まれていることや、血管がボロボロになったり狭くなったりして血流が低下することが原因とされています。
静脈血栓症では、手足の血管が詰まる深部静脈血栓症と、その血栓がはがれて血液の流れに乗り、心臓を経由して肺の血管へと運ばれる肺塞栓症があります。静脈は筋肉を動かすときのポンプ作用の力で血液を流しているため、体を長時間動かさずにいて血流が悪くなることが原因の一つとなります。エコノミークラス症候群とも呼ばれています。
地震や台風の災害の後、車での睡眠(車中泊)が続いてしまうことも血栓症のリスクになり得ます。
脳梗塞になると、全身の部位に指令が伝わりにくくなることにより、手足のまひや顔面の脱力、ろれつが回らないなどの症状がみられます。また心筋梗塞や肺塞栓症では、息切れや呼吸困難、胸の痛みなどがみられます。
肺塞栓症の原因となる深部静脈血栓症の症状は、ふくらはぎやふとももの腫れや痛み、ふくらはぎがつっぱるような感覚です。片足だけに現れることが多いとされていますが、両足に現れることもあります。
治療では、血液を固まりにくくする薬を用いた薬物療法やカテーテルで血管内の血栓を除去する治療を行います。また、使う薬によっては発症4~5時間以内という制限もあるので時間との勝負の一面があります。
動脈血栓症を予防するためには、日ごろから適度な運動やバランスのよい食事などで、生活習慣を整える必要があります。ウォーキングや水泳などの軽い運動を、毎日30分以上行うのがおすすめです。
静脈血栓症には、2~3時間に1度、ふくらはぎを中心に足の運動を行うことが重要です。長時間のフライトのほか、災害時に避難所などの狭い空間で生活する際には意識的に体を動かしましょう。