2025年1月9日
牛乳や乳製品を摂取すると、おなかにガスがたまる、下痢をするなどの症状が現れる体質です。牛乳に含まれる成分をうまく消化できないことが原因とされています。ただし、乳糖不耐症であると思い込むことによって、消化不良が起きていないにも関わらず類似する症状が引き起こされることもあります。牛乳は栄養価が高いため、工夫して摂取するのがおすすめです。
乳糖不耐症とは、乳糖をブドウ糖とガラクトースに分解するために小腸で作られる“ラクターゼ”と呼ばれる酵素が、生まれつき不足していたりその働きが弱まる事により、乳糖が消化吸収できず腹痛や下痢などの症状を起こす状態です。
生まれつきラクターゼが少ない“先天性乳糖不耐症”は、Lactase(LCT)遺伝子の異常が原因であることが分かっています。そのほかに、成長するにつれてラクターゼが減少することや感染性腸炎に罹患する事が原因で発症する乳糖不耐症もあります。
赤ちゃんの頃に沢山産生されるラクターゼですが、日本人をはじめとしたアジア人の多くは、成人までにほとんど産生されなくなります。ヨーロッパではラクターゼを産生できない人は1割程度にとどまり、乳糖不耐症は欧米人に少なくアジア人に多いと言われ、日本人は4人から5人に1人が罹患していると言われています。
乳糖不耐症があっても、個人差により一定限度の乳糖は摂取可能です。そのため自分でも気づいていないケースもみられます。それとは逆に自身を乳糖不耐症であると思い込むことによって、実際には消化不良が起きていないにも関わらず、似た症状を誘発することがあります。また過敏性腸症候群の症状など類似する症状を持つ疾患を、乳糖不耐症と勘違いしているケースもあるので注意が必要です。
ラクターゼ不足により消化・吸収されなかった乳糖は、大腸へと運ばれるとガスが産生されるため、腹痛や腹部膨満感が生じます。また、乳糖には腸内に水を呼び込む性質があり、これが下痢症状へとつながります。
このような症状を繰り返す場合は、乳糖不耐症の可能性が高そうです。
ちなみに「牛乳アレルギー」は乳糖不耐症とは異なり、牛乳のタンパク質に反応するもので、他の食物アレルギーと同様、かゆみや発疹、喘息などが現れ、乳糖不耐症の症状とは異なります。
乳糖不耐症は、食事で乳糖を含む食品、主に乳製品の摂取を控えることでコントロールできます。しかし全ての乳製品が摂取できない訳ではありません。ヨーグルトには乳酸桿菌(Lactobacilli)が生産するラクターゼが天然に含まれているため、多くの場合で耐えられます。チーズに含まれる乳糖の量は牛乳より少なく、摂取量にもよりますが多くの場合耐えられます。乳糖を減らした牛乳も市販で入手できます。牛乳は良質なたんぱく質のほか、ほとんどの種類のビタミンが含まれ、カルシウムの吸収率も高いことから日常的に取り入れたい食品です。数回に分けたり温めたりして摂取し、腸への過度な刺激を抑えるのがおすすめです。毎日継続して摂取することで、症状を改善できるという研究結果もあります。バランスの良い食事で腸内環境を整えつつ、日々の摂取を心がけましょう。
症状が強い時はβ-ガラクトシダーゼ製剤などを用います。